シシャパンマ登頂を果たした渡邊直子さん(中央)と、一緒に登ったミグマル・ドンドゥプ・シェルパ㊧、プルバ・シェルパ㊨=10月9日午前8時35分(渡邊直子さん提供)
マイナス数十度にもなる極寒、酸素濃度は地表の3分の1…人間が生存できない死の領域という意味から「デスゾーン」とも呼ばれる標高8000mの世界。実際に死と隣り合わせの過酷な経験を何度も味わっているというのに、ヒマラヤは「素の自分に戻れる場所」、14サミッターの快挙ですら「特別な感情は無かった」と言います。 昨年のインタビューで伺った通り、渡邊さんの夢は「日本の子どもたちをヒマラヤに呼んで冒険させたい」というもの。雪崩を乗り越えての登頂、その陰にあった「面白エピソード」、夢の「ヒマラヤトレッキング」の進捗具合など…ロングインタビューをお届けします。(竹村和佳子)◆二度とない「カオス」な状況の方が
2年越しで果たした14座コンプリート。ようやくたどり着いたシシャパンマの頂上は、さぞかし感慨深かっただろうと思ったが、「登っている間は特別な感情が出てくるのかなと思っていたけど、着いてみたらやっぱり普通、いつもと変わらない山頂」と意外な返答。14サミッター達成となったシシャパンマ登山の様子を語る渡邊さん(七森祐也撮影)
「むしろ、登頂日がもっと延びないかなって、ずっと思っていた。一生のうちにもう二度とないだろうという『カオス』な状況だったから、私の14座より、その特別感をもっとたっぷり楽しみたかった」 その状況というのは、この2年間の足踏みとも関係がある。標高8000m以上の14座はすべてヒマラヤにあり、ネパール、インド、パキスタンなどに分布するが、シシャパンマは中国のチベット自治区内にある。新型コロナウイルスの感染拡大で中国は厳格なゼロコロナ政策を敷いたため、昨年春までは外国人に入山許可がほとんど下りなかった。◆待ちに待って…山頂はスター勢ぞろい
やっと許可が下りた昨年秋はシシャパンマ内の数カ所で雪崩が頻発し頂上アタック中の4人が死亡。別の場所ではあるが渡邊さんも雪崩に遭い、様々な条件を考慮して標高6965m地点で撤退を決断した。 近年、14サミッターを目指す若い登山家が世界中に増えていたが、中国が数年間閉山していたせいで皆最後の1座がシシャパンマ、という特殊な状況が生まれていた。さらに昨年の雪崩事故を受け、今年は全員が、昨年とは違う安全なルートで、頂上まで固定ロープを張られた後に登ることが決められていたのだという。10月10日、登頂を果たしベースキャンプに戻ってきた渡邊さん(右端の背中)を祝福する外国人登山家たち。渡邊さんの方に手を置いているのは世界最速で14座を完登したノルウェー人登山家・クリスティン・ハリラ。その後ろは今回ロシア人初の14サミッターとなったアリーナ・ペコバ(渡邊直子さん提供)
かくして、ベースキャンプ(登山拠点)には渡邊さん同様「ここでコンプリート」という登山家が多数集まっていた。「ロシア人初とか台湾人初、最年少達成を目指している子とか、有名なシェルパ(ヒマラヤ登山の案内人)ばかりが20人以上集まっていた。この人もいる、あ、あの人も…みたいな状況、そんな中にいる自分が不思議な気分だった」。渡邊さん自身もその一員なのに、「スター勢ぞろい」を楽しんでいたようだ。 実はもう一つ、切実に「登頂日が延びてほしい」理由があった。◆「スーツの中で失禁したんです」
今回はシシャパンマの前にもう1座、世界8位のマナスルに登ってからシシャパンマのベースキャンプ入りしていた。初めて8000m峰に登りたいという人をサポートするためだったが、...残り 5561/7058 文字
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