(24日、男子ゴルフ国内ツアー、カシオ・ワールドオープン最終日)

 通算7勝目を挙げた岩田寛は、ゴルフ界の「笑わない男」だ。

  • 自己最高からの苦戦 宋永漢にクラブを握らせた同級生・石川遼の存在

 どの優勝も「うれしいと思ったことはない。全部悔しいプレーが残っている」。白い歯を見せることは、ほぼない。

 この日は「優勝を意識した」という後半13番(パー4)からショットの精度が一段上がった。ピンまで1~2メートルにつけ、3バーディーを奪って単独首位に立った。

 ただ、1組後ろの2位清水大成と1打差で迎えた18番(パー5)で1.5メートルのバーディーパットを外した。清水も短いバーディーパットを外してパーに終わったことで、自身の優勝が決まった。

 優勝会見で喜びのコメントはなかった。

 「悔しさ、残りまくりですね」

 自身に向ける目線は、どんなときも厳しい。

 スコアを五つ伸ばして3位で終えた2日目も、「スコアが良くても内容がダメ」と言い切った。

 今でも寝坊をするほど自分には甘いと言うが、ゴルフのことになると手を抜けない。

 食事の量を控え、好物の甘いものに伸びる手をたまに止める。試合後は練習とケアに努め、人影のなくなった時間にロッカーを出る。

 理由はシンプルだ。

 「ずっとうまくなりたいから」

 プロに転向して21年目。はじめは「勝ちたい」だった願望は、いつからか「完璧な球を打ちたい」に変わった。

 この日の勝利は、自身初となるシーズン2勝目となった。その喜びを問われても、「(うれしさは)ないです」と即答だった。

 賞金ランキングは4位に浮上。次週の最終戦での逆転賞金王の可能性に触れた質問の答えが、全てを言い尽くす。

 「やることは変わらないんですよ」

 揺るがない目標、自分への厳しさが、岩田をさらに強くする。(平田瑛美)

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