シリーズでお伝えしている「かちスポ」。今回は、おととしボッチャと出会い、今年佐賀で行われた全障スポで銀メダルを獲得した姉妹に密着しました。
ジャックボールと呼ばれる白いボールに赤・青のそれぞれ6球をいかに近づけられるかを競うスポーツ「ボッチャ」。
10月、佐賀で行われた全障スポで銀メダルを獲得した姉妹は、すでに次の目標へ向かっています。
陣内敦子さん53歳。脳性まひで手足が不自由で、就労継続支援B型の事業所に勤務しています。
【陣内敦子さん】
「らくらくマウスというものがあって、こういうものだと手が不自由な人でも作業ができるんです」
ボタンで操作することができるマウスや軽い力で押すことができるキーボードを使いながら黙々と作業に取り組みます。
【陣内敦子さん】
「商品ができあがったらうれしい。間違えないようにするのが緊張するけど」
「会社や学校関係から注文をいただいた封筒や伝票を作る仕事をしている」
【職員】
「穏やかなんですけど、結構自分の芯をしっかり持ってる方だと思います。責任感も強いので、お仕事も安心して任せることができてます」
ボッチャと出会ったのは2年前。きっかけは、隣の席の同僚が、重度の障害があってもできるとさそってくれたこと。
【向井洋さん】
「(ボッチャを始める前と比べて)自分をアピールじゃないけど、前面に出していくような感じがして、勧めて良かったなとは思ってます」
【職員】
「自分からの発言が少し多くなって、さらに明るくなったかなっていう感じは受けます。(今後も)応援していきたいなと思います」
国際大会をみてもともとボッチャに興味があり、そこから競技に。
【陣内敦子さん】
「初めてボッチャを知ったのがリオのパラリンピック。私と同じような脳性麻痺の障害を持った方たちが世界の舞台で戦っているのにすごく衝撃を受けて・・・」はまったといいます。
【英子さん】
「今からボッチャの練習に行きます」
妹の英子さん(51)敦子さんの競技のサポートをするランプオペレーターです。
二人は2年ほど前にボッチャを始め、毎週メンバーと一緒に練習に励んでいます。
手を使って投球することが難しいため「ランプ」という補助具を使います。
【英子さん】
「(組み立ては)もうだいぶ慣れたんですけど、最初はすごく時間がかかってました」
このランプの高さや位置を敦子さんの指示通りに動かし、ボールをセットすることが英子さんの役目。
まっすぐに転がすにはボールがきれいな形になっていることがポイントです。
【英子さん】
「セットする前に少しでも丸く丸めるために、こねて、ちょっと振って整えてる感じですね。あとは願いを込めて・・・」
一見、簡単そうに見えますが「地上のカーリング」とも呼ばれるほど高度な頭脳戦が繰り広げられます。
【陣内敦子さん】
「最後の一球で相手のボールをジャックに近づけてしまって負けてしまったり、逆のパターンもある」
ボールの縫い目などを目安にランプへの載せ方を微妙に調整することで、届く距離を変えます。
【陣内敦子さん】
「今まで計測した分を表にまとめてるのを見ながら、本当にこの距離転がるのか確認している」
強みは緻密なデータ分析。すべてのボールを転がし、一球ずつ丁寧に計測していきます。
【英子さん】
「素材も違うが、硬さが全然違う。柔らかいボールとすごく硬いボールがある」
一方、試合では選手が指示を出す以外、一切会話をしてはいけないというルールも。さらに・・・。
【陣内敦子さん】
「ランプオペレーターは試合が終わるまでコート内を見ることができないので、どんな試合展開かもわからない」
【英子さん】
「試合の展開は気になるが、姉の表情や周りの反応などでなんとなく試合の展開がわかる」
週末には公民館を借り、4時間~8時間の自主トレとボッチャひとすじですが、たまには息抜きも。
休日は一緒に買い物に行き、服やアクセサリーを一緒に選びます。
【英子さん】
「週末こうやってボッチャ以外で息抜きというか、お買い物している時間は楽しい」
【陣内敦子さん】
「(ボッチャと出会って)いろんな人たちと出会えて、いろんな刺激を受けて、遠征にも行けて、なんか全然今までとは違った生活になりました」
全障スポを終えたいま、2人が目標としているのは・・・
【英子さん】
「西日本予選を通過して、日本選手権に行けるように。そこを目指して頑張っていきたいと思ってます」
【陣内敦子さん】
「次、金メダルを目指して、また次の大会も頑張りたいなって思ってます」
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