【聖光学院-東洋大姫路】一回裏東洋大姫路2死一、二塁、高畑知季が先制の3点本塁打を放つ=神宮球場で2024年11月20日、渡部直樹撮影

 明治神宮野球大会の高校の部は20日、神宮球場で開幕し、17年ぶり出場の東洋大姫路(近畿・兵庫)が聖光学院(東北・福島)に10―0の五回コールドで快勝し、大会初勝利を挙げた。東洋大姫路は22日の準々決勝で二松学舎大付(東京)と対戦する。

 気温は10度に満たず、雨がちらつく悪天候。そんな肌寒さを吹き飛ばすような東洋大姫路の強烈な左翼ポール直撃、先制3ランだった。

 一回に先頭打者が内野安打で出塁したが、2番打者はバントを失敗して得点圏に走者を進められなかった。2死から4番・木村颯太が四球を選び、一、二塁で右打席に向かったのが5番・高畑知季だ。

 「チームとしても、『あれ?』という雰囲気があった。だが初回に点を取れば有利になる」。2球目だった。甘く入った内角低めのチェンジアップを逃さず引っ張った。手応え十分の打球は、左翼ポールに直撃。練習試合を含めても初めてという本塁打は嫌な流れを断ち切る価値ある一発。「父と兄にホームランボールを見せたいです」と笑みがはじけたチームはこれで勢いづき、長打4本を含む10安打、10得点の猛攻で快勝発進した。

 東洋大姫路OBで大阪・履正社を強豪に育てた岡田龍生監督が2022年に就任した。強打の履正社を築いた指揮官は体作りから見直し、フィジカル強化に努めてきた。入学時よりも10キロ以上体重が増加した選手も多い。17年ぶりに制した近畿大会は4試合で計29得点。蓄えたパワーは低反発バットの影響を感じさせない強力打線の源になっている。

 創部61年にして大会初勝利。古豪復活を目指す岡田監督にとっても勝利をささげたい人がいる。20日は東洋大姫路を1977年夏の甲子園初優勝に導き、06年に亡くなった元監督の梅谷馨さんの命日だった。「きょうは何とか勝ちたかった。初めての勝利で新たな歴史も刻むことができた」。恩師に向けてもいい報告ができそうなコールド発進だった。【牧野大輔】

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