(4日、春季関東地区高校野球大会群馬県予選決勝 健大高崎4―3前橋商)
健大高崎のベンチに、今春の選抜初優勝に貢献した「Wエース」はいなかった。
昨夏の甲子園に出場した前橋商との一戦。三回、先発の杉山優哉(3年)が逆転を許し、スコアは1-3になった。
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なおも2死三塁のピンチで救援に送り出されたのは、選抜大会はベンチ外だった背番号18の左腕、下重賢慎(2年)。今大会、2試合目のマウンドだ。
「甲子園で投げられなくて悔しかった。佐藤(龍月)と石垣(元気)がいなくても、健大は強い」
四球を与えたが、次打者は速球をコーナーに決めて見逃し三振。ピンチを切り抜けると、利き手方向に沈むツーシームと90キロ台の緩いカーブで凡打を量産していった。味方打線が勝ち越しを呼び込み、九回までスコアボードに0を並べた。秋に続いて2季連続で群馬を制した。
チームは選抜大会5試合で、わずか7失点。ただ、登板したのは2人だけだった。鋭いスライダーを駆使する左腕の佐藤と、150キロ右腕の石垣。この2年生コンビに頼りきりだった。
健大高崎は2015年を最後に、夏は群馬大会で優勝できていない。関東王者として臨んだ昨夏でさえ、壁は越えられなかった。
酷暑の夏を見据え、さらなる「戦力の底上げ」が必要と考えた青柳博文監督は今大会、大胆に策に出た。両エースをベンチから外し、攻守の要である捕手の箱山遥人(3年)も準々決勝まで控えに回した。
この采配に応えたのが、選抜ベンチ外の投手たちだ。決勝で好投した下重のほか、準決勝で高崎商大付を5回1失点に封じた仲本暖(3年)らが結果を残した。
それでも、夏の怖さを知るからだろう。監督の評価は辛口だった。
「全てにおいてもう一歩レベルアップしないと、夏の群馬大会(の優勝)は難しい。もっともっとチームを底上げするような選手が見てみたい」
18日から、2連覇を狙う関東大会が開幕する。(大宮慎次朗)
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