若隆景(左)に押し出しで敗れた大の里=福岡国際センターで2024年11月15日、金澤稔撮影

大相撲九州場所6日目(15日・福岡国際センター)

○若隆景(押し出し)大の里●

 相手得意の攻めを封じての厳しい攻め。新大関攻略の手本とばかりに、若隆景が9月の秋場所に続いて大の里に土を付けた。大けがを経て幕内に復帰して3場所目。上位と当たれる地位まで番付を上げた関脇経験者の躍動に、「戻してきた」「戻ってきたね」。安堵(あんど)の声が親方衆から相次いで聞かれる。

 立ち合いの踏み込みが良かった若隆景はそのまま低く出て、右を差し込む。得意の右を差せず左からもおっつけられない大の里の窮余のはたきもこらえた。かまわず足を運び続け、最後は押し出し。初顔合わせだった先場所は土俵際で体を入れ替えての逆転だったが、今回は完勝だ。

 前日は鋭い立ち合いで大関・豊昇龍を追い詰めたが、小手投げを食らって2敗目。しかし、動き自体は決して悪くない。終始攻めに徹した6日目の取組を終えると、若隆景は「下から(攻める)という意識で。前に出られたのは良かったと思う」と納得していた。

 「大関に一番近かったんだから」と八角理事長(元横綱・北勝海)に評されていたように幕内優勝1回、7場所連続で関脇に在位した若隆景の土俵人生は2023年3月の春場所の右膝靱帯(じんたい)損傷で暗転した。

 3場所連続全休から土俵に戻ってきた23年九州場所は、東幕下6枚目まで番付を落としていた。あれから、1年。復帰当初は右膝に分厚いサポーターを着けていたが、今はテーピングが施されているのみだ。けれんみのない攻めを貫く姿を見ると、大の里ら大関陣と対等な地位で土俵に立つ日もそう遠くないように思える。【岩壁峻】

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