大の里(左)が押し出しで正代を降す=福岡国際センターで2024年11月12日、平川義之撮影

大相撲九州場所3日目(12日・福岡国際センター)

○大の里(押し出し)正代●

 大関として迎えた初の結びの一番は完勝だった。大関経験者で幕内優勝1回の実力者、正代に何もさせずに土俵を締め、「よかったです」と息をついた。

 胸を出してくる立ち合いの正代をもろ手で突き起こすと、右がのぞいた。だが、まわしにはこだわらず、左からおっつけると相手は棒立ちに。回り込まれても動じず、最後は右の一突きで勝負を決めた。

 東京場所でも正代は幕内土俵入りで、ひときわ大きい歓声を浴びる人気を誇る。しかも熊本県出身で、九州場所は「ご当所」。この日、相手に向けられる声援の大きさは、これまで2日間とは違う雰囲気だった。それでも土俵下で取組を見つめた粂川審判長(元小結・琴稲妻)は「立ち合いも良い。完璧でしょう」。大の里に動じる様子は全くなかった。

 新大関の3連勝発進は、2022年3月の春場所の御嶽海以来となる。この時点で御嶽海は既に3回の優勝を飾っていたが、続いて大関に昇進した霧島はいきなり不戦敗。豊昇龍と琴桜(当時琴ノ若)も3日目までに土がついており、序盤戦は苦しんできた。

 ただ、大の里は「(自分が)大関とは考えていない、目の前の一番に向かうだけ。一番一番を集中してやるだけ」。地位に拘泥しない迷いのない攻めが日に日に輝きを増している。【林大樹】

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