FC町田ゼルビアが思い切った戦術変更で堅守を取り戻した。3―0で快勝した9日、J1のFC東京戦。5試合ぶりの無失点に貢献した守備陣は「迷いなくやれた」と口をそろえた。
◆象徴的だった前半42分の張敏圭の寄せ
町田―FC東京 前半、町田・張敏圭(後方)から激しいマークを受けるFC東京・ディエゴオリベイラ=9日、国立競技場で(浅井慶撮影)
連係ミスが失点につながっている現状を打開しようと、個々の役割を明確にする策を取った。従来の陣形を保つ守り方から、各選手がマークする相手につくマンツーマンを採用。急きょ練習を非公開にして念入りに準備してきた。 前半42分の守備が象徴的だった。町田の張敏圭(チャン・ミンギュ)が自陣ゴール前でボールを受けたFC東京のFWディエゴオリベイラに背後から体を寄せた。持ち場を離れることもいとわず、相手の得点源を追い返すようにしつこく食い付いた。◆空いたスペース「意識してカバーに」
町田―FC東京 前半、町田・張敏圭(中)から激しいマークを受けるFC東京・ディエゴオリベイラ(右)=9日、国立競技場で(平野皓士朗撮影)
試合後、黒田剛監督は「前を向かせないハードな守備が勝負の肝だった」と称賛した。 空けたスペースを突かれると一転してピンチになる危険もはらんだが、中盤との連係がうまくいった。MF下田北斗は「ミンギュが迷いなく出ていった分、僕が意識してカバーに入った」と振り返った。◆昌子源「この一週間、補い合う練習を密にやれたからこそ」
大事なシーズン終盤に勝てない時期が続き、迷いが生じていた。主将の昌子源は「チームにも個々にも迷いがあって後ろ向きなプレーが多かった」と吐露。「この一週間、補い合う練習を密にやれたからこそ、全員が迷いなくいけた」と充実感をにじませた。町田―FC東京 後半、FC東京・ディエゴオリベイラ(中)の突破を防ぐ町田・張敏圭(右)=9日、国立競技場で(浅井慶撮影)
苦肉の策ながら落とせない一戦で完成度高くやり遂げ、杉岡大輝は「確実に手応えのある試合だった。相手が変わってもぶれずにやりたい」とうなずいた。10日に首位ヴィッセル神戸が引き分けたため、逆転優勝の可能性は残った。幸いにも次の京都サンガFC戦まで3週間空く。新戦術を深めて自ら奇跡を近づける。(加藤健太) 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。