大の里(右)が突き落としで平戸海を降す=福岡国際センターで2024年11月10日、平川義之撮影

大相撲九州場所初日(10日、福岡国際センター)

○大の里(突き落とし)平戸海●

 初土俵から4場所目だった1年前の九州場所は十両。規格外のスピードで番付を駆け上がった大の里が、大いちょうの結えない「ちょんまげ大関」として福岡に戻ってきた。注目の初日は攻め遅れはしたが、新大関の非凡さも垣間見えた。

 立ち合いの踏み込みが良かったのは平戸海だった。大の里は右、左と差し込まれて土俵際に。しかし、そこから慌てずに相手をよく見て体を開き左からの突き落としを決めた。

 直近2場所で初日は大の里の難所になっている。2回目の優勝を果たした9月の秋場所は物言いがついた末に辛くも勝利。7月の名古屋場所は黒星を喫して波に乗れなかった。この日の白星発進にも、「ヒヤヒヤした。初日の入りが課題」と反省を口にした。

 しかし、土俵下で見届けた高田川審判部長(元関脇・安芸乃島)は冷静に語る。「危ないように見えたけど、本人からすれば違うんじゃない? 余裕があった。相撲勘の良さが生きていた」と評価した。

 1996年以来28年ぶりに全15日間のチケットが完売した九州場所の主役であることを裏付けるように、懸賞の申込本数も最多の157となった。期待を一身に受ける一方で、当の本人は支度部屋でお決まりの「集中」というフレーズを5回口にした。自然体を強調している。

 関係者によると大の里はなかなか毛先がそろわないようで、大いちょうを結える時期は現状未定という。さらなる快進撃で、ちょんまげがまたも破格の強さを示す象徴になるか。【岩壁峻】

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