2日連続での本番経験が少ない中…

今大会は、前半のショートプログラムと後半のフリーが2日続けて行われました。

日本スケート連盟によりますと日程の組まれ方は年や大会によって異なるものの、今シーズンはNHK杯を含むグランプリシリーズの2戦とファイナル、そして全日本選手権では前後半の間に1日の休養日がないということです。

鍵山選手は2日連続の本番での演技の機会が少ないということで次のように話していました。

「コンディションの調整をどうするかは課題の1つだと思っていた」

その懸念通り、フリー当日の朝を迎えた鍵山選手の体と心には疲労が残っていました。

朝の公式練習では前日とは打って変わりジャンプでのミスが目立ち、明らかに体が重そうでした。

日頃は8時間以上、しっかりとるという睡眠時間も、きちんと確保できなかったという中で「日本のファンの前」という独特の緊張感も重なりました。

「なかなかゆっくり休むことができず朝はジャンプの感覚も全然いつもと違っていた」

調整方法を工夫して

鍵山選手はそう振り返りつつも、「無策」ではありませんでした。

わずか数時間でベストに近い状態にどう戻せるのか。

トレーナーの助言を受けて選択した調整方法が「休む」ではなく「より強く」というものでした。

張りが少なかったという筋肉を目覚めさせようと、演技直前のウォーミングアップではふだんより強度を上げてダッシュするなどして、体温を上げようとしたといいます。

鍵山選手にとって「初めて」という試みでしたが、昨シーズンより4回転ジャンプの本数を1本増やし身体的に負担が大きい構成でも最後までしっかり滑りきりました。

演技後の鍵山選手は調整の工夫が功を奏したことに手応えを感じていました。

「朝はどうなるかと思ったがしっかり立て直して演技できたことはよかったと思う」

1年3か月後の五輪の金メダルに向けて

鍵山選手は金メダルを目指す1年3か月後のミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックを見据えています。

「練習以上は求めず、練習のとおりをそのまま出していきたい」と、オリンピックのプレシーズンとなる今シーズンのシリーズ初戦となる今大会にピークを合わせるのではなく、あえて大会直前まで「体を追い込む」トレーニングをしてきたといいます。

背景には銀メダルを獲得した北京大会のあと、左足首のけがで思うように練習ができなかったことがあります。

「過去の自分超え」が目標の今シーズンに向けては、3月の世界選手権直後からカナダで練習を積み、5月には長野県での合宿で徹底してジャンプを強化して質・量ともにレベルアップを図ってきました。

その豊富な練習量が結果として、日本のファンが待つリンクで実ったのです。ただ大差での連覇達成にも、鍵山選手は課題も口にしました。

「ショートプログラムはミス無く終えられたが、フリーでは1回目のフリップで転んでしまってすごく悔しい。自分が思っていた300点の出し方ではなかったので、次はしっかりとノーミスで300点を出したい。体調管理をしっかりしながら頑張っていきたい」

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