(4日、秋季近畿地区高校野球大会決勝 東洋大姫路5―1智弁和歌山)

 ドキリとした右飛だった。

 一回1死。東洋大姫路の阪下漣(れん)投手(2年)は智弁和歌山の福元聖矢選手(2年)に高めの変化球を右翼フェンス際まで運ばれた。

 前日の準決勝で2打席連続本塁打を放った「強打の智弁和歌山」を象徴する2番打者だ。ベンチに戻り「低めに丁寧に投げよう」とバッテリー間で再確認したという。

 三回は2死二塁で福元選手を迎えた。得点圏に走者を背負った場面で一番嫌な打者だ。5球連続ファウルで粘られ9球目。低めの球で二ゴロに打ち取り、喜んだ。

 阪下投手は前日も救援で26球を投げていた。この日は力まず制球を重視して丁寧にコーナーを突いた。四回に今大会、初めて点を失ったが、結局この1失点のみ。大会3試合目の完投でチームを17年ぶりの優勝に導いた。「まずはうれしい。今後はさらに厳しい戦いになるが、自分らしくやっていきたい」と試合後、意気込みを語った。(原野百々恵)

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