第77回秋季関東地区高校野球大会(関東地区高校野球連盟主催)の準決勝2試合が3日、横浜市の保土ケ谷球場であり、浦和実(埼玉1位)は横浜(神奈川1位)に2―3で敗れ、決勝進出はならなかった。今大会は来春の選抜大会の選考材料となっており、関東・東京の出場枠は6で4強入りした浦和実は出場が有力になっている。西武台(埼玉2位)は初戦で負けており、これで埼玉県勢は2校とも姿を消した。(恒川隼)
◇
初打席の初球だった。
二回、浦和実の深谷知希(2年)はバットを寝かせると、相手エースの直球をうまく一塁方向に転がした。失策も絡み、三塁走者に続いて二塁走者も生還した。「ようやくこの取り方ができた」
小学1年から野球をはじめ、高校でも当然のように野球部に入部した。しかし、全く打てない日々が続いた。「チームに貢献できる何かを」。試行錯誤の中で見つけたのがバントだった。少しでもうまくなるために他の選手の2倍、3倍と練習に打ち込んできた。
秋季埼玉県大会では3四死球5犠打で5打点。選球眼に優れ、自他ともに認めるチームの小技担当だ。しかし関東大会では、これまで打点なし。悔しさを募らせ、マシンを使った4日間の練習で豪速球に慣れた上で臨んだ横浜戦だった。
先行したものの、チームは五回に逆転された。九回、走者二塁で深谷に打席が回ったが、ゴロに倒れた。「今の自分はあと一本という場面で何も出来ない。もう一度バッティングとちゃんと向き合いたい」。そう冬の成長を誓った。(恒川隼)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。