来春の選抜大会につながる秋季東京都高校野球大会(東京都高校野球連盟主催)は3日、スリーボンドスタジアム八王子で準決勝があり、早稲田実と二松学舎大付が決勝に進んだ。決勝は7日午後4時半から神宮球場で開かれる予定。

(3日、秋季東京都高校野球大会準決勝 二松学舎大付7―0帝京 8回コールド)

 二松学舎大付の先発投手河内紬(つなで)(2年)は五回表、この試合最大のピンチを迎えた。2死満塁で、帝京の打席には4番の立石陽嵩(1年)。「攻める気持ちでいった」。左飛に打ち取ってピンチをしのぐと、六回には3者連続三振。マウンド上でグラブをたたいた。

 八回途中まで投げ、8奪三振無失点。再三走者を背負ったが、粘りの投球を見せた。エースの及川翔伍(2年)にマウンドを譲り、ベンチに戻ると、スタンドからは拍手とともに、「河内、ありがとう」と歓声があがった。「今日は大人のピッチングでした。百点です」

 今夏の東東京大会準決勝、関東第一戦で先発したが、五回途中3失点で降板。1―6で敗れ、甲子園出場をあと一歩で逃した。「ピンチで打たれたくないという気持ちが出過ぎてしまった」と自分の投球を悔いた。

 この敗戦以降、「自分が自分が(打ち取ろう)という気持ちから、チームのために」と守備陣を信頼して投げるようになった。打者に球種を絞らせないため、投球フォームを2段モーションに変え、変化球の腕の振りが直球と同じになるよう練習を重ねた。

 市原勝人監督は「勝つごとにバージョンアップしている。勝ちゲームに持っていってくれている」と河内を評価する。「今いる選手は一度も甲子園に出場できていない。行きたい気持ちは強い」。準々決勝で日大三を1点、準決勝で帝京を0点に抑えた投手陣で、夏の甲子園16強の早稲田実に挑む。(中村英一郎)

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