(31日、プロ野球日本シリーズ第5戦 横浜DeNAベイスターズ7―0福岡ソフトバンクホークス)

 キャプテンのひと振りが、試合の流れをたぐり寄せた。

  • 筒香嘉智が経験した「生きるか、死ぬか」の4年間 繰り返した覚悟は

 日本シリーズに入って前日まで17打数2安打、打率1割1分8厘と不振だったDeNAの牧秀悟が、四回に3ラン。無死一、二塁からソフトバンクの3番手前田純の内角寄りの直球を振り抜いた。白球はベイスターズファンで青く染まった左翼席に吸い込まれ、リードは4点に広がった。

 「クワ(桑原将志)さん、カジ(梶原昂希)がチャンスを作ってくれたので、余計なことは考えず、とにかく強くとらえることを意識した」。牧はそう振り返った。

 不振脱出のきっかけにベンチ外の仲間のアドバイスがあった。先輩の伊藤光からは「呼吸を大事にした方がいい」との助言を受けた。同学年の知野直人からは映像を見ながら「準備の段階で慌てている」とずばりと言われた。「そういう言葉だけですっきりしました」と牧は言う。

 ただ、打撃は振るわなくとも、ずっと守備は光っていた。この日は二回2死一塁で、内野安打にはなったが、右翼へ抜けそうな打球を好捕し、走者の三進を防いだ。「守備と打撃が直結すればいいんですけどね」と言ったが、1球への集中力は途切れることがなかった。

 チームは先発全員の13安打と持ち味の打線に活気が戻り、敵地で3連勝を果たした。2010年のロッテ以来、セ・リーグでは初となるリーグ3位からの日本一に王手をかけ、横浜へ戻る。(堀川貴弘)

中4日のDeNA・ジャクソンが7回無失点の好投

 DeNAのジャクソンが7回8奪三振無失点の快投を見せた。先制点をもらった直後の三回1死二塁のピンチで、柳田の痛烈な当たりが一塁ライナーに。栗原には6球すべてチェンジアップと裏をかいて空振り三振に仕留め、反撃の芽を摘んだ。第1戦ではシリーズタイ記録の5者連続三振を奪う力投も、敗戦投手に。「すべて出し切るつもりだった」と、中4日の先発でリベンジを果たした。

DeNA・筒香が先制適時打

 DeNAの筒香が勝負強さを発揮した。両チーム無得点の三回2死一、二塁で打席へ。ソフトバンク先発・大関のフォークをすくい上げると、打球はセカンドの頭上を越えた。先制適時打に、「必死につくってくれたチャンス。なんとかかえしたいという思いだった」。これで今シリーズは全5試合で先制点を奪ったチームが勝利。まさに白星を呼び込む一打だった。

 DeNAでの優勝と日本一を目標に、今季途中、5年ぶりに日本球界へ復帰した。「地に足をつけて横浜で戦いたい」

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