パリ五輪で日本勢が大活躍したフェンシング。

 札幌から世界を目指して、小学生の姉妹が練習の日々を送っています。

小学生姉妹がフェンシングで世界を目指す

 札幌市中央区のフェンシング教室。

 大人にまじって練習していたのは…。

 「上山ほの香、10歳です」

 「上山琥弓、8歳です」

 パリ五輪で日本のフェンシングは札幌市出身の尾崎世梨選手が女子団体で銅メダルを獲得。

 日本勢は2つの金メダルを含むメダル5個の大躍進を遂げました。

 「勇気があって、試合に強い選手になりたい」(ほの香さん)

  「(Q: 五輪に出たい? )うん」(琥弓さん)

 フェンシングというこれまであまり馴染みのなかった競技に、新たなアスリート出現の予感です。

未来のアスリート発見に取り組む札幌市

 札幌市は未来のアスリート発見に取り組んでいます。

 今後10年間の計画として「第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン」を策定。

 1.ユニバーサル(共生)、2.ウェルネス(健康)、3.スマート(快適・先端)
の3つを特に重要概念としています。

 このうち「ウェルネス」で市はスポーツの推進に力を入れています。

 未来のオリンピアンは、いま札幌でどんな日々を送っているのでしょうか。

 札幌市内のフェンシング教室に週2回通う小学生の姉妹がいます。

 上山ほの香さんは3歳のときに、この競技を始めました。

 2023年の小学生の大会で全国10位に入る実力です。

 妹の琥弓さんはお姉ちゃんの影響で2023年から教室に通い始めました。

  「(Q: お姉さんに勝てるようになる?)ならない」(琥弓さん)

 「(妹の)琥弓にはもう少し強くなってもらわないと、私には勝てない」(ほの香さん)

 姉妹で3分間の練習試合をすると力の差は歴然ですが、それでも琥弓さんは少しずつポイントが取れるようになりました。

93歳の指導者・下野謹也さん

 2人を指導するのは93歳の下野謹也さんです。

 70年以上にわたってフェンシングに携わってきた下野さんに2024年、うれしいニュースがありました。

 「思いもよらないことで」(下野謹也さん)

 下野さんが指導した札幌市出身の尾崎世梨選手がパリ五輪のフェンシング女子団体で銅メダルを取ったのです。

 「(尾崎選手は)小学校のころ空手をやっていたんですよね。札幌大谷中学に入ってきて空手部がないので『何かいいクラブはないか』と言って見学に来たんですよ」(下野さん)

 下野さんは尾崎選手に見た瞬発力や間合いのとり方が、ほの香さんと琥弓さんの姉妹にもあると感じていました。

 「(上山さん姉妹は)反発力があって瞬発力もあるし、スタミナもある。これから期待できる選手だと思う」(下野さん)

 フェンシングの練習は家の中でも。

 相手をするのは父親の陽光さんです。

 「空手をやっていて、間合いで戦えるスポーツが良いと思った」(父親 上山陽光さん)

 空手の瞬発力や間合いの取り方がフェンシングに通じるのでしょうか。

 家には、ほの香さんが獲得した賞状やメダルの数々が飾られていました。

 琥弓さんもこの1年でいくつもの表彰を受けていました。

過酷な競技… 友達誘っても「嫌だと言われる」

 2人はフェンシングの仲間を増やそうと、友達を誘っているといいますが…。

 「誘ったけど、あざができたりして嫌だと言われる。(Q: あざができるの?)まぁ、できます。血が出たりたまにします」(ほの香さん)

  「ポイント取れたらちょっと楽しい」(琥弓さん)

 防具をつけていない所を突かれると、あざができるという過酷な競技。
 
 しかも、マスクで息苦しさもあります。

 「ギブアップすると思っていた。負ける悔しさ、勝てる強さを経験して、楽しく続けていると思う」(母親 上山さなえさん)

 札幌市内で小学生がフェンシングを練習できるのは3か所。指導者は7人です。

 パリ五輪で日本勢が大活躍したことで、体験希望者が増えているということです。

 「全国大会で上位に入りたい」(ほの香さん)

 「(将来の目標は)オリンピック選手。(Q: メダルを取りたい?)うん」(琥弓さん)

 目指すは全国。そして、世界。

 フェンシングのメダリストを目指す姉妹が練習の日々を送っています。

 札幌市では競技人口が少ないフェンシングができ、年齢を重ねた指導者がサポートする貴重な環境があります。上山さん姉妹のように、誰もが自分のよさや可能性を認められ活躍できるマチになることへ期待が高まります。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。