日本選手がNBAの試合に出場するのは、田臥勇太選手、渡邊雄太選手、八村塁選手に次いで4人目の快挙です。
河村勇輝 ここまでの歩み
日本選手4人目のNBAプレーヤーとなった河村選手はBリーグの横浜ビー・コルセアーズを退団し、今シーズン、幼いころからの憧れだったNBAに挑戦しました。
絶好のアピールの機会となったのは日本代表として出場したこの夏のパリオリンピックでした。
河村選手は司令塔としてチームの中心的な役割を果たし、銀メダルに輝いたフランスや、去年のワールドカップで優勝したドイツなどを相手に予選リーグで平均20.3得点、7.7アシストと、ともに全体3位の記録をマークして世界のトップ選手たちの中で存在感を示しました。
そして、グリズリーズとNBAの開幕前に行われるキャンプに出場する契約を結んでアメリカに渡ると、キャンプ初日からチームメートと積極的にコミュニケーションをとる姿が印象的でした。
河村選手は当時、取材に対して「現実的には下部リーグからのプレーになると思う」と話すなど今シーズン中はNBA下部のGリーグでプレーすることが濃厚だと見られていました。
しかしレギュラーシーズンを前に行われたプレシーズンマッチで、河村選手はこの評価を覆して見せました。
今月7日の初戦で9分余りの出場で5得点、3アシストと結果を出すと、その後同じポジションの選手にけが人が出るなどして出場時間が増えると、4戦目では25分余りの出場時間で10得点、7アシストをマークしました。
特に広い視野を生かしたパスがさえ、プレーシーズンマッチの5試合で平均4.2アシストとチームで2番目の成績を残し、地元メディアのSNSでは河村選手のノールックパスが繰り返し取り上げられるなどNBAでも通用する実力を証明しました。
その結果、チームと「ツーウエー契約」を結んだ河村選手は、与えられたチャンスを一つ一つ生かし、挑戦からわずかな期間でNBA出場を勝ち取りました。
昨シーズンの選手の平均身長は1メートル99センチで、高さと身体能力を兼ね備えた世界トップレベルの実力者がそろうバスケットボールの最高峰、NBA。
今シーズンのNBAで最も身長の低い河村選手の、「世界中の小さな子どもたちに夢を見させてあげたい」という挑戦が始まります。
NBA出場の日本選手3人は
日本選手で初めてNBA出場を果たしたのは、現在、Bリーグの宇都宮ブレックスに所属する田臥勇太選手です。
田臥選手は身長1メートル73センチのポイントガードで、2003年にNBA入りを目指して渡米し2004年にサンズと契約しました。
その年の11月3日、ホークスとの開幕戦で大きくリードした第4クオーターの途中から出場しスリーポイントシュートを決めるなど10分間の出場で7得点、1アシストをマークして日本選手のNBAでの歴史を刻みました。
しかし、層が厚いチームで出場時間を得られず、およそ1か月半後の12月18日に解雇され、田臥選手のNBAでの成績は通算4試合の出場で平均1.8得点、0.8アシストでした。
その後もNBA入りを目指した日本選手はいましたが、体格や身体能力の高い壁に阻まれ続け、2人目の日本選手となったのは、今シーズンから千葉ジェッツでプレーする渡邊雄太選手でした。
NCAA=全米大学体育協会1部のジョージ・ワシントン大学で主力選手としてプレーした渡邊選手は、2018年にグリズリーズと「ツーウエー契約」を結びました。
そのシーズンの10月27日、本拠地で行われたサンズ戦の第4クオーターに出場し、4分31秒のプレーで2得点、2リバウンドをマークしました。
渡邊選手はその後、持ち前の献身的なディフェンスとスリーポイントシュートを持ち味として2020年にラプターズとの契約を勝ち取り、昨シーズンまであわせて6シーズンNBAでプレーしました。
通算で213試合に出場して平均4.2得点、2.3リバウンドの成績でした。
そして3人目は現在もレイカーズでプレーする八村塁選手です。
2019年、大学バスケットボールの強豪、ゴンザガ大学からNBAのドラフト会議で日本選手として初めて1巡目で指名を受けてウィザーズに入団しました。
その年の10月23日、相手の本拠地ダラスで行われたマーベリックスとのシーズン開幕戦で先発出場を果たし、およそ25分間コートに立ち14得点、10リバウンドと2つの部門でふた桁をマークする「ダブルダブル」で上々のデビューを飾りました。
八村選手は去年1月にレイカーズに移籍し、今シーズンもスーパースターのレブロン・ジェームズ選手などとともにチームの主力として活躍が期待されています。
田臥選手の最初の1歩からちょうど20年がたった今シーズン、河村選手がBリーグから移籍した日本で最初のNBAプレーヤーとなり、日本のバスケットボール界にまた一つ新たな歴史が刻まれました。
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