今年の大学4年生には即戦力が集中している。コロナ禍で、高校最後の年の大会が相次いで中止になった世代。それだけに、プロ入りにかける思いは強い。
スカウトの視線を集めるのが明大の遊撃手、宗山塁だ。その実力は、東京六大学の早大出身の遊撃手で、元阪神の鳥谷敬と比肩すると言われる。バットコントロールがうまい左打ちで、10月21日までに鳥谷のリーグ戦通算115安打を超える116安打を記録した。守備は打撃以上に評価が高く、捕球や送球面の安定感は抜群。1位指名を公言している広島のスカウトは「獲得できた球団はこの先10年、内野手に困らない」と太鼓判を押す。
関大の金丸夢斗は最速154キロのサウスポーで、「大学ナンバーワン投手」と言われる。変化球の精度も高く、どの球種でもストライクが取れるのが魅力だ。今春のリーグ戦では39イニングを投げ、防御率は0・00。打者128人に対し四死球はわずか3と、圧巻の制球力を見せた。腰のけがで秋はリリーフに回ったが、自責点0は継続したままリーグ戦を締めくくった。
160キロ右腕や強打の外野手も1位入札か
青学大の中堅手、西川史礁(みしょう)は今春に東都リーグで自身2度目のMVPとベストナインに輝いた。長打力と確実性を兼ね備えた右打者で、3月には大学生ながら「飛び級」で侍ジャパンのトップチームに招集された。秋は死球で指を負傷したため、満足いくプレーは見せられていないが、1巡目指名は濃厚だ。
愛知工大の中村優斗は最速160キロの本格派右腕。球威ではアマチュア随一といえる。3年春からは3季連続でリーグ戦の最多奪三振のタイトルを獲得した。今春は40イニング超を投げ、61三振を奪っている。
大商大の渡部(わたなべ)聖弥は広角に大きな当たりを打てるパワーが魅力だ。今秋のリーグ戦では首位打者やMVPを獲得して優勝に貢献するなど、確実性も増している。
法大の篠木(しのぎ)健太郎はリーグ戦でこれまで48試合に登板したタフさと経験値が持ち味で、最速157キロを誇る。スライダーのキレのほか、フォークでも勝負ができる。大学日本代表では中継ぎ登板も担う器用さを見せた。富士大の佐藤柳之介は技巧派の左腕で、緩急をつけた投球が特徴。同じ富士大では外野手の麦谷祐介も身体能力が高く、走攻守で穴が無い。
大学生では他に日体大の右腕、寺西成騎や環太平洋大の左腕、徳山一翔らも上位指名の可能性を秘める。
社会人も有力候補がひしめく。NTT西の伊原陵人はカットボールのキレと制球力で勝負する左腕で、勝ちパターンの中継ぎを任せられる。西濃運輸の吉田聖弥は、左腕から伸びのある直球にチェンジアップを織り交ぜる先発タイプ。高卒から社会人入りして22歳と伸びしろもある。日本生命の捕手、石伊雄太のスローイングはアマ屈指。守備面では1年目からの活躍が狙えそうだ。(高億翔)
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