河村勇輝 NBA出場へ前進 グリズリーズと「ツーウエー契約」

23歳の河村選手は、今月開幕するNBAでのプレーを目指し、グリズリーズのキャンプに参加しました。

当初はNBA下部のGリーグのチームと契約する可能性が高いとみられていましたが、開幕前のプレシーズンマッチでは5試合平均で15分あまりに出場し、広い視野とパスの技術を生かして1試合平均でチーム2位の4.2アシスト、そして、3.4得点をマークしてアピールしました。

グリズリーズの発表によりますとチームと河村選手は、下部のGリーグのチームでプレーしながらNBAで最大50試合プレーすることができる「ツーウエー契約」を結んだということです。

日本選手ではこれまで渡邊雄太選手も「ツーウエー契約」を結んでNBAでプレーした経験があり、河村選手は日本選手で4人目となるNBA出場に向けて大きく前進した形です。

NBAは今月22日に開幕し、レギュラーシーズンは来年4月までに82試合が行われます。

NBAの「ツーウエー契約」は、3年目までの若手選手を対象にした契約で2017年に始まり、シーズンごとに規定が変更されています。

今シーズン、NBAの各チームは15人の選手と本契約を結ぶことができ、これとは別にツーウエー契約の選手を3人まで登録することができます。

シーズン中は主にNBAの傘下の下部、Gリーグのチームでプレーしますが、けがで欠員が出た場合などにNBAのトップチームに昇格して最大で50試合までプレーすることができます。

過去には渡邊雄太選手が2018年にグリズリーズとツーウエー契約を結び1年目はNBAで15試合、2年目は18試合に出場しました。

そして、2020年には今度はラプターズとツーウエー契約を結んで、そのシーズン終盤の本契約につなげ、渡邊選手は昨シーズンまでNBAで合わせて6シーズンプレーしました。

NBA挑戦1年目でツーウエー契約を勝ち取った河村選手はシーズン中にNBAに出場するチャンスが回ってくる可能性があり、今後もアピールを続けて本契約を目指すことになります。

身長1メートル72センチの河村選手は、NBA開幕前の試合に登録されている選手の中で最も身長が低く、今シーズン、NBAの試合に出場する可能性がある選手の中で、最も身長の低い選手になる見込みです。

NBA出場を果たせば日本選手では4人目で、2004年に初出場を果たした田臥勇太選手の1メートル73センチを下回りNBAの歴史の中では1976年にリーグが現在の形になって以降、7番目に身長の低い選手となります。

NBA史上最も身長の低い選手は1メートル60センチのマグシー・ボーグスさんで、平均の在籍年数が4年半と言われるNBAで1987年から14シーズンに渡ってプレーし、1試合平均7.7得点、7.6アシストを記録しました。

また、歴代で2番目に身長が低いのは1メートル65センチのアール・ボイキンスさんで、1998年から合わせて13シーズンプレーし高い得点力で活躍しました。

こうした選手たちはいずれも高い身体能力や正確なシュートなどを生かしてNBAの中で活躍しましたが、昨シーズン、選手の平均身長が1メートル99センチというNBAの世界では身長が低いとディフェンスの面で不利になるケースが多く、プレータイムを多く与えられない傾向があります。

高い得点能力とパスの精度を持つ河村選手ですが、NBAでのプレーを目指すには体格面での不利を補う河村選手ならではの“強み”をアピールし続ける必要があります。

河村勇輝選手は山口県出身の23歳。

身長1メートル72センチのポイントガードで、広い視野を生かしたパスやスピードのあるドライブ、それにスリーポイントシュートによる得点力も高い万能型の司令塔です。

バスケットボールの名門、福岡第一高校でプレーした高校時代から注目され、2020年には高校3年生で特別指定選手としてBリーグの三遠ネオフェニックスに加入し、18歳8か月で当時、リーグ最年少出場を果たしました。

その後、東海大学を経てBリーグの横浜ビー・コルセアーズに加入し2023年にはレギュラーシーズンのMVPと最優秀新人賞を同時に受賞する快挙を果たしました。

日本代表として参加したパリオリンピックでも司令塔としてチームの中心的な役割を果たし、強豪のフランスやドイツなどを相手に平均20.3得点、7.7アシストをマークして、ともに全体3位の記録をたたきだし、世界のトップ選手たちの中でも存在感を示しました。

NBAは小さいころからの憧れだということで、「僕みたいな小さい選手が活躍することにで世界中の小さな子どもたちに夢を見させてあげたい」と決意を語っていました。