(29日、サッカーU23アジア杯準決勝 日本2―0イラク)
イラク戦の前日、選手だけで開いたミーティングがチームの変化を物語っていた。
主将や副主将ではなく、これまで話す機会が少なかった選手が思いをぶつけた。若いチームらしく、ときにいじり、野次も飛ぶ中、FW藤尾翔太は本音を口にした。
「(準々決勝の)カタール戦の緊張感は、もう絶対に味わいたくない」
8大会連続がかかる五輪出場への重圧は、どの選手にもあった。負ければ終わりの8強での一戦は特に硬かった。だからこそ、吹っ切るように声をかけ合った。「負けても次(3位決定戦)があると思うのはやめよう」
勝てば五輪行きが決めまるこの日は、序盤から仕掛けた。象徴的なのは5人が並ぶイラクDFを中央から崩したこと。前半28分のFW細谷真大の先制点は主将のMF藤田譲瑠チマが通したロングパスからだった。
これまで球を奪われるリスクを避け、サイド攻撃を多くしていたことが布石になった。大岩剛監督は「外に餌をまいて、真ん中をいく」。冷静さと勇気で好機を生み、試合を支配した。
所属クラブの事情で毎回のように顔ぶれが変わり、立ち上げ当初はサッカーの議論も少なかったという。今大会は、ミーティングを開いて一体感が増し、控え選手もベンチから声を張り上げた。
欧州組5~6人が呼べず、過去最も厳しいといわれた今回の最終予選。チーム力で乗り切った藤田は胸を張った。「このチームは強くなった」(ドーハ=照屋健)
優勝して帰りたい
日本・大岩監督 「率直にホッとしている。選手たちがこの1試合に懸ける思いをしっかりとピッチの上で示してくれた」
細谷 「サイドがダメだったときに中央で決められたのが良かった。あと1勝、しっかり優勝して帰りたい」
荒木 「自分のプレーは出しながら、日本のために戦おうと思っていた。(昨季までは)試合に出られず、自分のプレーに悩んだりもしたけど、やり続けてきてよかった」
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