真希バオーのウマ女十番勝負

 毎日新聞デジタル報道グループの“真希バオー”こと中嶋真希記者が2024年下半期GⅠシリーズを予想します。今季は、予想を主要レース6戦に絞り、ズバッと的中を狙います。

 第1戦は、牝馬3冠ラストを飾る秋華賞(京都2000メートル、13日午後3時40分発走)。桜花賞馬ステレンボッシュと、オークス馬チェルヴィニアが激突。競馬担当30年で、師匠の松沢一憲記者は、「あの馬が、Vラインを刻んでいるぞ」と本命馬に期待します。

「極悪キャラ」はいないけど…

 桜花賞(阪神1600メートル)馬とオークス(東京2400メートル)馬が秋華賞で対決するのは、2021年以来3年ぶり。この時は、1番人気を背負った桜花賞ソダシは10着、オークス馬ユーバーレーベンは13着に敗れた。

 しかし、春の女王、特に、オークス馬は秋華賞で崩れない。過去10年、オークスの勝ち馬が秋華賞に出走したのは7回で、結果は、4勝、2着1回、3着1回と優秀だ。また、アーモンドアイが牝馬3冠に輝いた18年以降は、桜花賞馬も好走することが増え、3冠牝馬が3頭も誕生している。

引退式で、パドックを歩くアーモンドアイ=中山競馬場で2020年12月19日、中嶋真希撮影

 「女子プロレスに例えるなら、チェルヴィニアとステレンボッシュは、ライオネス飛鳥と長与千種の『クラッシュギャルズ』のような絶対的存在ってところかな。でも、ダンプ松本の『極悪同盟』が殴り込んでくれば、事態は一変。波乱が起きるかもしれない」と真希バオー。「どういうことだよ」と師匠はあきれている。

 「最近、ダンプ松本さんを描いたネットフリックスのドラマ『極悪女王』にハマっちゃって。もちろん、3歳の乙女たちに“極悪キャラ”はいないですが、2強に割って入る馬が出てきてくれるのではと、ついつい期待してしまうんですよね」と真希バオーは言う。

 「穴を狙うなら、このレースはやめたほうがいいぜ。過去10年で馬連の最高配当は16年の3550円だからな。牝馬は、春で勝負付けが済んでいる。素直に、オークスと紫苑ステークス(S、中山2000メートル)、ローズS(中京2000メートル)の上位馬を信じるのが吉だ」と師匠。

 「だけどな……。さかのぼれば、08年に3連単1098万馬券が飛び出したこともある。伏兵馬の大駆けも心に留めておきたいな」

松沢記者の本命は……

 ◎ステレンボッシュ

 ○チェルヴィニア

 ▲クイーンズウォーク

 △クリスマスパレード

 △ボンドガール

 △ミアネーロ

 「ステレンボッシュは、デビューから6戦して3勝、2着3回とパーフェクト連対。うち3戦がGⅠだ。負けたレースも小差だし、抜群の安定感だよな」と師匠は高く評価する。

 「しかも、馬群をさばいて、勝負強さを見せつけて伸びた前走のオークスでは、Vラインを刻んでいるぞ」と師匠。Vラインは、「レース中に一旦位置取りを下げて盛り返した馬は、3走以内に必ず激走する」という師匠独自の攻略法だ。

 「京都内回り2000メートルは立ち回りのうまさを発揮できる舞台だ。オークスの雪辱を果たし、2冠目を獲得だ!」

真希バオーの大胆予想

 馬連5頭ボックス(10点×100円=1000円)

 (3)クイーンズウォーク

 (4)タガノエルピーダ

 (5)チェルヴィニア

 (10)ボンドガール

 (14)ステレンボッシュ

 3歳牝馬界の「クラッシュギャルズ」に割って入るのは、どの馬だろう。

 秋華賞と相性のいい紫苑Sは、クリスマスパレードがレコード勝ち。2番手から直線で早めに先頭に立ち、猛追を振り切って勝利した。反動もなく元気だと聞くが、「海外遠征帰りや、前走レコード勝ちの馬には、見えない疲れがある」という師匠の教えが頭をかすめる。

 それなら、後方でレースを進め、直線、メンバー最速の上がりで3着に入ったボンドガールに逆転のチャンスがあるのではないか。

 ボンドガールは、新馬戦でチェルヴィニアを降すと、サウジアラビアロイヤルカップ(東京1600メートル)、ニュージーランドトロフィー(中山1600メートル)で2着。3番人気で挑んだNHKマイルカップ(東京1600メートル)では、直線で受けた不利が響いて17着に終わった。

 その後、クイーンS(札幌1800メートル)からは、末脚を生かす競馬を武豊騎手に教え込まれている。

 父ダイワメジャーという共通点から、思い出すのは19年3着のシゲルピンクダイヤ。桜花賞で7番人気2着と激走。オークスは12着に敗れ、ローズSは4着。秋華賞は軽視されて10番人気だったが、再び激走して3着に入った。あの強烈な末脚は、今も脳裏に焼き付いている。

 シゲルピンクダイヤはその後も2000メートルのレースで好走を見せたが、母もマイラーのボンドガールにとってはギリギリの距離か。しかし、この夏に磨いた末脚で、差し馬が台頭する展開になれば……。「クラッシュ」を相手に、大暴れしてほしい。

2023年の秋華賞を制したリバティアイランド=JRA提供

真希バオーの勝負レース

 秋華賞

 菊花賞

 天皇賞・秋

 エリザベス女王杯

 ジャパンカップ

 有馬記念

なかじま・まき

 毎日新聞デジタル報道グループ記者。業務の傍ら、学生時代から興味があった競馬を本格的に勉強しようと、2014年、競馬担当の松沢一憲記者に勝手に弟子入り。得意技は、パドックで激走する穴馬を見つけること。皐月賞馬イスラボニータが大好きで、産駒の応援に励んでいる。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。