第77回秋季栃木県高校野球大会(県高野連主催)は6日、宇都宮市の清原球場で決勝があった。佐野日大が16安打の猛攻で宇都宮工を9―4で破り、6年ぶり7度目の優勝を飾った。宇都宮工は20年ぶり13度目の優勝はならなかった。佐野日大は県1位、宇都宮工は県2位の学校として、26日に神奈川県で開幕する関東大会に出場する。同大会の成績は来春の選抜大会の選考材料となる。

 優勝を決めてベンチに戻った佐野日大の選手たちは、意外に冷静な顔をしていた。主将の桜井剛志(2年)らは「選抜出場を目標にやっている」。各自が県の頂点は通過点という認識だった。

 エース洲永俊輔(2年)は前日の準決勝で130球を超えて完投しており、決勝は登板せず。この日は攻撃力と投手陣の層の厚さが問われる試合だった。

 佐野日大は初回から積極的な攻めを展開。4番の和栗虎雅(2年)は4安打3打点、5番の田崎瑛大(2年)も4安打2打点と打ちまくった。

 準決勝で無安打に終わっ和栗は、試合後に学校で打ち込み練習をして決勝に臨んだ。「センター返しを意識して、力みなく打つことができた」

 洲永以外の投手陣も奮起した。2番手の酒井隆之介(2年)は、最速120キロ前半と直球は決して速くないが、100キロに満たない変化球との緩急の差を生かした。「(連戦となる)関東大会は洲永ひとりでは勝てない。自分や他の投手もしっかり投げて勝ち上がっていきたい」

 昨季の関東大会で、県勢は秋が作新学院、春は白鷗大足利が優勝し、レベルの高さを示した。佐野日大も、来春の選抜大会の選考材料となる今秋の関東大会で、好成績の期待がかかる。

 麦倉洋一監督は「洲永が一本立ちし、打線も長打が出るなど振る力がついた」とチームの成長を感じた様子。その力を関東大会で発揮すれば、県勢としては3年連続、同校としては田嶋大樹投手(オリックス)を擁した2014年以来の選抜出場に前進する。(津布楽洋一)

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 宇都宮工の先発は背番号10の松本優希(2年)。1番を背負う横山健(2年)とともに練習に励んできたが、初戦以来、登板していなかった。

 「投げたくてうずうずしている」とみた大森一之監督は、こう声をかけてマウンドに送り出した。「その気持ちをこの試合でぶつけてくれ」

 松本は五回まで5失点の粘投。「リズム良く、攻撃につなげられるように意識した」。六回途中で降板するまで、チームメートも「ナイスピッチ」「まだ大丈夫」と声をかけ続けた。

 打線も奮起した。得点されても次の回で取り返す。四回は2番の黒崎優作(2年)の打球が右方向に抜け、走者2人が生還。「前の打席は満塁で三振だった。無心で、投手との一対一を楽しむよう監督に言われ、迷いなく振った」。チームは最後までバットを振り、気づけば先発全員安打になった。

 ただ、大森監督は「それを得点につなげていくことがもう一つできなかった。課題として、力に変えていきたい」と反省も忘れなかった。

 次は関東大会。「20年ぶりに最高の舞台に立てる。自分たちの野球で結果につなげたい」と主将の石沢蓮雅(2年)。視界の先には、2002年以来の選抜出場がある。(高橋淳)

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 栃木県高野連は6日、今大会の優秀選手15人を発表した。優勝した佐野日大からは、投手の洲永俊輔(2年)ら4人が選ばれた。首位打者は文星芸大付の入江虹(2年)で、打率は6割だった。優秀選手は次の通り。

 洲永俊輔、和栗虎雅、井上遥翔、田崎瑛大(以上佐野日大)、横山健、石沢蓮雅、田島駿(以上宇都宮工)、津久井雷仁、入江虹(以上文星芸大付)、斎藤奨真、沢村友真(以上作新学院)、市村勝也(矢板中央)、大沼悠真(宇都宮南)、鈴木俊世(青藍泰斗)、小針和真(国学院栃木)(津布楽洋一)

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