高校女子サッカーの頂点を決める第33回全日本高校女子サッカー選手権大会に、和歌山北が県勢として22年ぶりに出場する。全国大会に出場するためにはこれまで、関西大会で県外の強豪に競り勝つ必要があったが、今大会から出場枠が増加し、県内から1チームが出場できることになった。12月29日に兵庫県で開幕する全国大会に向け、和歌山北の選手たちは「これまでの分まで頑張りたい」と張り切っている。
同選手権は昨年度まで32チームが出場する方式で、県勢が全国大会に出るには関西地区で上位4チームに入らなければならなかった。だが、関西は全国優勝3回の日ノ本学園(兵庫)をはじめ、大商学園、大阪桐蔭(ともに大阪)など強豪が高いレベルで競い合っている地域。県勢は2002年度に田辺商(現・神島)が出場して以降、関西大会での敗退を繰り返してきた。だが、今大会からは各都道府県の地方大会優勝チームが全国大会へ行けるシステムに変わった。
和歌山大会の決勝は9月16日、和歌山市の紀三井寺公園球技場であり、和歌山北と新宮が対戦。巡ってきたチャンスをつかもうと、決勝は手に汗握る大接戦となった。
和歌山北は開始早々に西口都和子選手(1年)がダイレクトでボレーシュートを決めて、鮮やかに先制。しかし、その後は優位に展開しながら、新宮の粘り強い守りに追加点が奪えない。シュート2本がゴールのクロスバーをたたくなど不運もあったが焦らずに攻撃を仕掛け続け、1―0で勝利をものにした。
ボランチで試合をコントロールした下池田柚菜主将(3年)は「暑くてつらかったけど、前から攻撃をかけ続けるよう仲間と声を掛け合った。今までで一番いい試合」と振り返った。野口勇太監督(33)は「12年間、チームを指導してきたが、卒業生たちは関西の壁を破れず、悔しい思いをしてきた。今回はここ一番の試合で勝ち切れたことが大きい」と選手をたたえた。
高校からサッカーを始めた選手が大半という時期が長く、3学年合わせて試合が可能な11人前後しかいない時期も珍しくなかった。だが、現在の3年生の世代は中学までの経験者が多く、3年計画で強化できたという。県外チームとの練習試合で経験も積み、つないで崩す攻撃の連携を磨いてきた。
チームはスピードのあるアタッカー陣に加え、センターバックの谷野嘉音選手(3年)ら守備に強い選手もおり、攻守に統一感があるのが持ち味。下池田主将は「まだまだ足りないところがいっぱいある。しっかり練習して全国で勝てるチームに仕上げたい。先輩たちの悔しい気持ちの分も全力でぶつかりたい」と誓っている。【加藤敦久】
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