◆警戒していた立ち上がりに…
前節に6得点を挙げて勢いづいていた広島に、立ち上がりから左サイドを狙われた。前半3分、左からのパスを元ポルトガル代表のゴンサロ・パシエンシアに中央でうまく合わせられて先制を許すと、同23分にも同じような形から決められた。広島-町田 前半、先制のゴールを決め喜ぶパシエンシア(中央)ら広島イレブン=28日、Eピースで(内山田正夫撮影)
広島は試合開始から20分間の得点が目立ち、町田としても警戒していた時間帯だった。先発した相馬勇紀は「自分たちが大切にしようって言ってた時間にやられちゃったので、悔しくて言葉が出ない」と落胆。町田は無失点を終盤まで続ける展開を描いていただけに、GK谷晃生も「立ち上がりの失点でリズムを失ってしまった」と悔やんだ。◆明暗を分けたプレーの激しさ
プレーの激しさが明暗を分けた。相馬は「チームとして気合は入ってたけど雰囲気が緩かった。最初の15分は絶対に強くいかなきゃいけなかった」と振り返った。対して、広島の中盤を支えた川辺駿は「開始1分1秒からアグレッシブなプレーを心がけたことが結果につながった」と満足げに胸を張った。広島-町田 前半、ゴール前で競り合う広島・塩谷㊧と町田・相馬=28日、Eピースで(内山田正夫撮影)
町田の黒田剛監督も、26日の取材で「立ち上がりの攻防は、互いにかなり激しくいくのではないか」と試合のポイントに挙げていた。だが、実際に遂行できたのは広島だけだった。 町田の動きを鈍らせた要因について、黒田監督は試合後に「雰囲気に圧倒された」と語った。新スタジアムで地鳴りのような声援を送り続けた広島サポーターの熱気に言及し、リーグ優勝3度という強豪との経験の差を認めざるをえなかった。◆クロスに自信の守備網を破られ…
失点した場面は、自信を持っていたクロスに対する守備網をあっさり破られる形だった。目の前で2失点目を押し込まれた主将の昌子源は「僕のマークかな。あそこが全て。ボールから目を切った瞬間にやられた」とうつむいた。悔しさが込み上げたのか、首を振りながら舌打ちを繰り返した。広島-町田 後半、指示を出す町田の黒田監督=28日、Eピースで(内山田正夫撮影)
今季ここまでの15戦で1敗のみと強さを見せてきたアウェーだったが、4月にホームで完敗している広島の壁は高く、分厚かった。2年目を迎えた黒田体制では初めてとなる、1シーズンで同じ相手に2度負ける「シーズンダブル」を食らうことになった。◆残り6試合「下を向いていると転がり落ちる」
直接対決を終え、自力では上回れなくなったが正念場は続く。昌子は「(力の差を)さすがに痛感した」と素直に受け止めた後、すぐさま顔を上げた。「下を向いていると、自分たちから崩れてあっという間に(順位表を)転がり落ちる。僕らはもう上位についていくだけ」。残り6試合。新しい歴史は、まだ作れる。広島に敗れ、肩を落とす町田イレブン。左は昌子=28日、Eピースで(内山田正夫撮影)
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