(23日、プロ野球 福岡ソフトバンクホークス9―4オリックス・バファローズ)

 逆転への口火を切ったのは、ソフトバンクの今季を象徴するような若手の気迫だった。

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 1点を追う四回2死一、三塁。川村友斗の打球は一塁手のグラブをはじき、二塁手の前に転がった。「何とか一本と必死だった」

 3月に支配下登録された25歳は一塁をめがけてヘッドスライディング。きわどい内野安打で同点とした。

 次打者は川村と同じ育成選手出身の1番周東佑京。「気迫のヘッドスライディングで心が燃えた」。左中間への2点適時三塁打で勝ち越し。

 五回は柳町達、川村の長打2本で3点を挙げ、突き放した。

 2位以下に大差をつけたが、アクシデントも多かった。

 5月末から3番柳田悠岐が長期離脱。4番山川穂高は6月末までの30試合で本塁打なしと苦しんだ。最終盤には5番近藤健介もけがで離脱。そこで生きたのは小久保裕紀監督の「最悪最低を想定したマネジメント」だ。

 4軍制を敷き、選手数は多い。その戦力をうまく循環させた。

 春季キャンプ前、上限70人の支配下登録選手を62人と例年になく絞った。門戸を広げて育成選手の意欲をかきたて、8人が支配下に昇格、うち7人が1軍を経験した。新人5選手も1軍で使った。

 この仕掛けで下からの突き上げが起き、誰かが欠けても誰かが穴を埋めた。

 この日、先に日本ハムが敗れて優勝決定。直後にソフトバンクも勝ち、小久保監督は8度、宙を舞った。

 「懸命に戦った選手たちに胴上げをしてもらえて、本当に最高だった」

 そう語り、目をうるませた。(平田瑛美)

 王貞治会長(ソ) 「今年は本当に強かった。3年間遠回りしちゃったんだけど、小久保監督になって『小久保イズム』と言いますか、若い人をどんどん使って、自信をつけさせたし、レギュラークラスの人も、うかうかしてられないという気持ちになり、チーム内に競争が出ましたね。それがよかったと思います」

 山川(ソ) 移籍1年目で優勝。「素直にうれしい。自分ができることを精いっぱいやった。(0本塁打の)6月は悔しかったし、悪い方の記憶はどうしても残るけど、打てるようにしっかりもがいたので、自分としても少しは成長できたかなと思う」

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