大の里(手前)が寄り切りで霧島を破る=両国国技館で2024年9月17日、新宮巳美撮影

大相撲秋場所10日目(17日、東京・両国国技館)

○大の里(寄り切り)霧島●

 賜杯争いの行方を占う一番は、立ち合いで大関経験者の霧島が変化したことで興趣をそがれた感があった。大の里はそれでも動じない。「一日一番、集中して」。ここ数日、支度部屋で判を押したように繰り返すフレーズだが、受け流す言葉ではないことを印象づけた。

 霧島が左に大きく変わっても、相手の動きがよく見えていた大の里は右下手をがっちり取って左おっつけで絞り上げる。そのまま前に出続け、一方的に寄り切った。

 この日まで対戦成績は大の里の2勝0敗だった。分が悪かった霧島は朝稽古(げいこ)で立ち合いの動きを確認したが「思い通りいかなかった」という。立ち合いの変化という苦肉の策は実を結ばず、好取組を期待した八角理事長(元横綱・北勝海)も「(霧島は)変化でバランスを崩した。ああいう負け方は恥ずかしい」と渋い顔を見せるほどだった。

 大の里について土俵下で見守った粂川審判長(元小結・琴稲妻)は「攻めも早いし、慌てない。(霧島にとって)変わらざるを得ない『何か』があったのでは」とみる。

 大の里は初日から10の白星を並べた。大関昇進の目安とされる直近3場所で合計33勝にあと「2」とした。最も重視される取組内容も充実している。2差をつけ、優勝争いをけん引して終盤戦へ。八角理事長は「大の里が(ここから)3敗するとは思えない」。優勝、昇進ともにかなえてしまいそうな気配が漂う。【岩壁峻】

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