球団史上初の連覇を目指す阪神は今シーズン、開幕から「らしくない」野球が続きました。
打線の状態がなかなか上がらなかったこと以上に目立ったのが守備でのミスです。
8月までのチームのエラー数は77個と去年より9個増加。
数字以上に要所でエラーが出て失点につながる試合が多い印象で「守り勝つ野球」を掲げて日本一になった昨シーズンとは対照的でした。
その阪神が今、安定した守りを取り戻しつつあります。
それが見えたのが、10日から16日にかけて行われた本拠地・甲子園球場での“勝負の7連戦”でした。
セカンドの中野拓夢選手とショートの木浪聖也選手の二遊間はもちろん、これまでミスが目立っていたサードの佐藤輝明選手も巧みなグラブさばきで難しい打球を難なく処理し、アウトを重ねていきました。
ビッグプレーが出たのが16日のヤクルト戦。
2アウト満塁でレフトへの痛烈な当たりを前川右京選手がフェンスにぶつかりながらもダイレクトキャッチ。グラブの先からこぼれ落ちそうになるボールを離しませんでした。
抜ければ3点を先制されていた場面だけに、チームを救うファインプレーとなり、岡田監督も「あれは大きかった」と目を細めました。
1試合が天候不良で中止になった“勝負の7連戦”は6試合でチームのエラーはゼロでした。
馬場敏史 内野守備走塁コーチ
「アウトをとれるところをしっかりとってくれている。それだけで十分。むだな失点を野手から与えていないから、それは大きい」
内野守備を担当する馬場敏史コーチが指摘するように、堅い守備は投手陣のリズムにもつながります。
特に盤石だったのがリリーフ陣。
成長著しい石井大智投手と桐敷拓馬投手の「イシキリコンビ」はともに6試合中4試合に登板して無失点。
ゲラ投手と岩崎優投手の「ダブル守護神」コンビも安定感がありました。
甲子園での6試合の結果は、5勝1敗。
岡田監督は「地の利もあるからな。十分じゃないかな」と手応えを得た様子で球場をあとにしました。
もちろん、打線が上向き始めたことも好調の要因で得点圏打率がリーグ1位から4位を占める上位打線は相手投手陣の脅威となっていますが、それ以上に、去年、日本一の礎となった「守り勝つ野球」をここにきて取り戻しつつあることが、今の快進撃を支えています。
阪神の残り試合は「10」、首位・巨人とのゲーム差は「2」。
最後に宿敵に勝ち、『逆転アレンパ』をつかむことができるのか。
昨シーズンの王者が、虎視眈々(こしたんたん)とその牙を研いでいます。
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