2日にあったパリ・パラリンピック車いすラグビーの試合。フランス代表はカナダを下して5位を確定させた。勝利を祝う選手の輪の中に、リアド・サレム選手(54)の姿があった。

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 睡眠薬などとして販売され薬害を引き起こしたサリドマイドの影響で、生まれつき両手足に障害がある。子どもの頃、故郷のチュニジアからフランスに来て治療を受ける機会に恵まれたが、そこには新たな壁があった。「外見が重要視される」と感じたフランス社会で、障害者として生きるのは簡単ではなかったと言う。

 病院で過ごす毎日。リハビリの傍らでスポーツを始めたことで、人生は変わった。「スポーツには外見を超えた美しさがあると気づき、自分の体への尊厳を取り戻せた」

 1996年に車いすバスケットボールの仏代表として初めてパラリンピックに。2009年には種目を車いすラグビーに変え、これまでの出場は計6回を数える。それも、パリ大会を最後にと、考えている。

 競技生活の傍らで立ち上げた障害者と健常者が共にスポーツを楽しむ団体の運営に、今後は打ち込む。「スポーツを通して社会の障害者に対する見方を変えていきたい」。そのための取り組みはパラリンピックの熱が冷めた後にこそ、大切になると思っている。(宋光祐)

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