◆サッカーWEリーグ「WEのプロ魂」㊦
 日本女子プロサッカーリーグとして、4季目の2024~25年シーズンを迎えるWEリーグ。9月14、15日にリーグ戦の開幕節を迎える選手たちは自身を鍛え、魅力ある舞台をつくろうとする。その姿を紹介します。

◆名門の司令塔の責任感はピッチの上だけじゃない

 3年前の東京五輪、当時18歳でサッカー日本代表「なでしこジャパン」として戦った逸材も「あれ、自分ってこんなに下手だっけ」と混乱したことがある。昨季2023~24年のWEリーグ序盤戦。日テレ東京Vの司令塔、MF木下桃香(21)は「新しいものをどんどんプレーで創出していくことを目指す中で、自分たちにはそれをやる戦術眼がなくて…」。

会場の盛り上げをどうつくるかについて話す日テレ東京VのMF木下=東京都内で

 さまざまな戦術が約束事に基づくサッカーでは「自由」ほど難しさを増し、やるべきことを見失った。修正して後半戦で浮上のきっかけをつかみ、今季こそプロ化後初のリーグタイトルへ。名門ベレーザの背番号10は「もっと圧倒的にならなきゃなと」。責任感はピッチ上だけでない。リーグが過去3季で苦戦してきた集客の課題にも向く。  「男子のJ1の運営ってすごい。(会場の雰囲気が)頭痛がしてくるくらいの緊張感もある」。競技が本来持つそんな力をどう生かすか。来春卒業予定の慶大生でもあり、学問として研究してきた。「急成長したスペインのように男子のリーグから補助を受けるという『資金』は、日本では規模が違うので望めない。選手は『結果』を出すためにやっている。あとできることは『普及』のところ」

◆自らSNSでアンケートをとり、分析した結果

 交流サイト(SNS)を使ってアンケートをとり、クラブを超えて選手仲間の声も集めた結果、このリーグの魅力は選手との距離感、親しみやすさと仮説した。「観客に居心地の良い空間。それでいてピッチ上では熱いサッカーという新しい空間を生み出せるのでは。そのためのアクションをしたい」  今季は自ら集客企画を手がける予定で「友だちと遊びに行くとか居酒屋に行こうみたいな感覚の場所だよって企画を1回やってみたい。それで試合を見てもらえれば。自信はある」。興行を見せる立場の責任感だ。(上條憲也) 

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