中央アジアのカザフスタンで生まれたエレーナ・クラフツォウ選手は子どもの頃、病気によって視力が低下し始め、治療のため家族とともにロシア、そしてドイツへと移住しました。

その後、競泳で頭角を現し、前回の東京パラリンピックで女子100メートル平泳ぎ視覚障害のクラスで金メダルを獲得しましたが、大会後に頭痛を訴えて悪性の脳腫瘍の摘出手術を受け、放射線治療などを続けながら競技に復帰しました。

30歳で迎えた今回のパリ大会、クラフツォウ選手は5日のレースでスタートから先頭に立つと「周りは見えないが、水をかく回数を数えている」という集中した泳ぎでリードを広げ、5年前にみずからが打ちたてた世界記録を更新する1分12秒54のタイムで、1位でフィニッシュしました。

そして会場の大歓声で金メダルを獲得したことを知ると、両手を突き上げて喜びをあらわにしました。

レース後、クラフツォウ選手は「手術後、競技に復帰したことで長い治療を乗り切るモチベーションとエネルギーが得られた。体の状態を元のレベルに戻すのは大変で、忍耐を持って一歩ずつ取り組んできたので、この結果は信じられない。とにかくうれしい」と振り返りました。

ただ、病気は完治していないということで「私はその日その日を生きているので、人生をとにかく楽しみたい。その先に、今後の目標が見えてくるでしょう」と話し、コーチを務める夫と家庭を築きながら、4年後のロサンゼルス大会で3連覇を目指す可能性もあるとしました。

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