○DeNA7―2巨人●(26日・横浜スタジアム)
彼の目は明らかにぬれていた。球団史上初となる新人の満塁本塁打という快挙を生み出したDeNAのドラフト1位ルーキー・度会隆輝は試合後のヒーローインタビューで「少しだけど、打てて良かった」と話しながら涙をこらえていた。開幕戦から1番を務めてきたが不振のため、初の8番に変更。苦しかっただけに、うれしさも大きかった。
八回にチームが逆転した後、3―2で迎えた2死満塁だった。マウンドは昨年まで所属していたENEOSの先輩でもある巨人・高梨雄平。フルカウントから低めのスライダーを振り抜き、今季第3号を右翼スタンドに届けた。これまで本塁打を放った際は、ダイヤモンドを駆け抜けたが、自然とゆっくり回っていた。「幸せな時間でした」
第93回都市対抗大会(2022年)で橋戸賞に選ばれた強打者だ。開幕戦から2試合連続本塁打と鮮烈なデビューを飾ったが相手のマークも厳しくなり、少しずつ低空飛行となった。打率は2割台。1番打者として出塁にこだわるあまり、ボール球にも手を出し、凡退を重ねていた。
見かねた三浦大輔監督は24日の試合後「マークされたら、こちらも研究して上を行く。その繰り返しだ」とアドバイス。さらに、「楽に打たせてやりたい」という親心で打順を下げた。実際、この日の度会は打つべき球をしっかりと見定め、3安打4打点の活躍。転機となった。
試合後のベンチ。打席の振り返りや感じたことを早速ノートにメモを取る度会の姿があった。「プロに入ってからは今日から始めました。継続していきたい」。結果を出したからこそ、おごらず、学び続ける。【岸本悠】
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