【日本-中国】後半、追加点を決める南野拓実(左から3人目)=埼玉スタジアムで2024年9月5日、藤井達也撮影

サッカー・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選(5日・埼玉スタジアム)

○日本7―0中国●

 立ち上がりから日本はテンポ良く中国に攻撃を仕掛けた。右サイドでは久保建英が細かなボールタッチで相手を手玉に取り、左サイドでは三笘薫がスピードに乗った突破で守備網を切り裂く。ピッチを広く使って決定機を作り、リズムをつかんだ。

 前半10分過ぎには左CKからフリーになった主将の遠藤航が冷静に頭で押し込み先制ゴール。果敢に前に出続ける攻撃で大きな重圧をかけた結果だ。

 W杯北中米大会のアジアの出場枠は前回カタール大会の「4・5」から大幅に増えて「8・5」となった。一見すると、本大会への壁は低くなったように映る。だが、アジア最終予選は、実力や実績がそのまま結果に反映されず、何が起こるか分からない「魔境」。実際に日本も前々回はアラブ首長国連邦(UAE)、前回はオマーンにいずれもホームで敗れて、黒星発進。最終予選の初戦は、日本にとって一つの鬼門になった。

【日本-中国】前半、CKから先制ゴールを決めて喜ぶ遠藤航(左)=埼玉スタジアムで2024年9月5日、藤井達也撮影

 二つの「まさか」を知るベテランの長友佑都は言う。「油断はその通りで、最終予選が難しいと分かっているけれど、どこかで2次予選を簡単に勝ち抜いたとか、アジアは普通にやっていればいけるとか。欧州組が多くてコンディションが上がっていない選手もいて、すごく難しい。気の引き締めは、後輩たちにも伝えていかないといけない」

 2次予選を6戦全勝で突破した日本は、今夏の移籍を経験したばかりの選手も多くメンバー入り。さらに中国の監督は3年前にオマーンを率いて日本を破ったイバンコビッチ氏と、懸念材料はいくつもあった。しかし遠藤は「前回がどうとか、ネガティブなことは意識し過ぎない。先は長い戦いになる。とにかく一戦必勝、まずは中国戦に最大限力を発揮することを選手全員で目指すことが大事」と臨んだ。チームに漂うのは自信と前向きな姿勢だ。【角田直哉】

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