パリオリンピックで金メダルを獲得した柔道女子・出口クリスタ選手の独占インタビューです。8月26日、NBSを訪れ、メダルまでの歩み、地元愛、そして今後の展望を語りました。

■「今もほっとしています」

8月26日、NBSを訪れた出口クリスタ選手。

――今の率直な思いは

前は『ほっとしている』と言ったんですけど、今もほっとしています。ずっと良かったなという気持ちでいます

――金メダルの真ん中の素材が少し変わっていますね

これはエッフェル塔の端材と聞いています。ユニークですよね

――金メダルの素材は劣化しやすいと聞いたことがあるのですが

今のところ、金は大丈夫なんですが、コーティングはけっこう剥がれてきたりしています。一番上の層は「さよなら」しています

■悲願の金メダル「長かった」

改めてパリオリンピックの戦いをここで振り返ります。

塩尻市出身の出口クリスタ選手(28)。父親の母国カナダ代表として初のオリンピックに挑みました。

世界ランキング1位の出口選手は順当に勝ち進みます。

迎えた決勝。韓国の許海実(ホ・ミミ)選手と対戦しました。互いにポイントを奪えずゴールデンスコア方式の延長戦に。

そして、許海実選手に3回目の指導。出口選手の金メダルが決まりました。

柔道女子57キロ級「金」・出口クリスタ選手:
「長かったです。東京五輪出たかったけど出られなくて、カナダだけじゃなく日本の皆さんも応援してくれてすごく励みになりました」

夏のオリンピックの個人種目で県内出身選手が金メダルを獲得するのは初めてです。


―ーパリオリンピックの戦い、激闘となりましたが、振り返って今どんな思いですか

夏季のオリンピックで金メダルを初めて長野に持って帰れたことと、カナダでも柔道では初めての金メダルなので、金メダルを持って帰ってこられて本当に良かったです。東京がだめだったこともあって今回は絶対に取りたかった

――戦いはかなりハードでしたか

準決勝、決勝。特に準決勝(フランス代表シジク選手)はぎりぎりの戦いで。やっぱりフランスは柔道大国ということもあって熱がすごいですね。フランスは毎回試合するたびにすごいなって思ったんですけど、オリンピックは声援の量が倍でした。もう没入というか自分の世界に入っちゃったので、試合中はあまり気にならないです


■準決勝で足を負傷…

――足を負傷したのは準決勝

準決勝のどこかは覚えてないんですけど、自分で大内刈りかけて、くしゃってやったのは覚えている

――死闘となった決勝戦、その足の影響は

準決勝が終わって20分くらいしか時間がなかったのでテープする時間もなくて、痛み止めだけ飲んで試合したんですけど、試合中は正直、痛みはなくて。ただ最後、相手に指導いく前に、痛がってるふうなんですけど、動きはおかしいなというのはありました


■うれしい、安ど、ぐちゃぐちゃな感情

――金メダルの瞬間はどんな思い

相手に指導がいった瞬間はもう安どで。畳を下りてメディア対応とか表彰式に乗っているときは本当に自分が成し遂げられたんだなと、ちょっと信じられない気持ちがあったんですけど、今でも正直、実感がないのはあるんですけど

――ほっとする安どの気持ちが大きかったんですか。試合後のインタビューで涙をするシーンがありましたが、どんな心境でしたか

あまり泣くつもりは…直後は涙も出てこなくて混乱している状態ではあったので涙が出てこなかったんですけど、インタビューしてくれている人が泣いているを見て泣くというカオスな状況になって、よく分からない感情で。でも言葉にするとどんどん自分の気持ちが出てくる。実感も湧いてきて、そこで初めてうれしいと安どとぐちゃぐちゃな感情が出ていました

■カナダ代表を選択「賭けみたいなところも」

ここまではパリオリンピックの戦いを振り返ってきましたが、ここからは出口選手のこれまでの柔道人生を振り返りました。

――小さい時の出口選手、本当にかわいらしかったですよね。輝かしい成績を残してきた出口選手ですが、その後、カナダ代表を選択することになります。ここまでの柔道人生改めて振り返って今、どんな思いでしょうか

カナダ代表にするにあたって、結構賭けみたいなところもあったんですけど、東京オリンピックに出られなくて、自分がやってきたことが合っていたのかどうかも分からなくなった時期はあったんですけど、そこで諦めずにたくさんの人がサポートしてくれたおかげで、もう一回パリを目指したいということで、この3年間頑張ってきて良かったなというのはあります


■「信州人代表として戦えた」

――出口選手はカナダ代表ではあるんですけれども、以前、信州人代表とも話されていました。今回、地元塩尻市からもたくさんの声援があったかと思うんですけれども地元の声援というのは大きかったですか

大きいですね。いつも応援してくれている人たちがいて、信州人って響きが結構好きなんですよね。信州人代表として戦えたことを光栄に思います


■地元での凱旋パレード「うれしかった」

――信州人としても、すごくうれしい思いですよね。そして地元に戻ってきて以前、市長にも約束していた地元での凱旋パレード、有言実行となりましたね

まさかやってくれると思ってなかったので、言っとくもんだなというのはあるんですけど、あんなに手を振ること多分、今後ないと思うので肩しんどかったですね。でも本当にうれしかったです


■塩尻市の名誉市民になりたい!

NBSで放送した番組で出口選手はこんな発言もしていました。

出口クリスタ選手(「ジャンクSPORTS」8月13日放送):
「周りの人にめちゃめちゃ言われるんです。初めての金メダルなので、これで“名誉市民”になれるんじゃないかっていう」

――塩尻市の名誉市民になりたいということでしたが、どのような思いからこの発言をされたんですか

いや、なんか小耳に挟んだんですよ。その、なれるんじゃ。市役所が『そういう議題に上がっていません』って聞いた時は、え、うそでしょって思いましたけどね。でも結果として、オファーしていただいたので、市長に言われた瞬間になんかちょっと本当プロポーズみたいだなっていうのもあったんですけど、出口の名前を市に残せるということでおばあちゃんとかも多分、喜んでくれてると思いますし、自分としても本当に光栄なことなのでありがたく思ってます


■「初心に帰りたい」 

――少し気が早いんですけれども、今後の活動について聞かせていただけますか

多分、2カ月休業するっていうのが出てると思うんですけど、年内はとりあえず試合出ない方向で考えて、来年またやりたくなるというか出たいなって思ったら出ようかなと。今年はもう本当オリンピックに出る、オリンピックで勝つっていう試合に勝つだけの柔道をやってきたので。一番は競技を楽しむことが大事だと思っているので、今年はそれができなかったので、ちょっと原点じゃないですけど初心に返りたいということで楽しく練習したいです

■4年後に向けては 

――どうしても4年後のロサンゼルスのオリンピックどうなるのかな、非常に気になってしまうところなんですが、そこに向けては今、どんな思いをお持ちですか

生半可な覚悟で勝てるような試合ではないので今、自分が中途半端な気持ちでロスに出たいっていうのも、自分にうそになってしまうし、たくさんの人に変な希望というか与えてしまうことになるので正直、今、ロスを目指すっていうのはまだ分からないんですけど、自分の覚悟が決まって行けると思ったら、そのとき頑張るので、ぜひよろしくお願いします


■「応援ありがとうございました」

――県民の皆さんにメッセージをいただきたいと思います

塩尻がいつも自分のバックボーンではあるので、本当にこのメダルは確かに自分一人で畳に上がって取ったものではあるんですけど、たくさんの人が後ろにいてくれたおかげで今回のメダルがあると思ってます。本当に応援ありがとうございました」

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