天皇杯敗退が決まり、悔しげな表情を見せる細谷真大選手=千葉県柏市の三協フロンテア柏スタジアムで2024年8月21日、高野裕士撮影

 サッカー・J1柏レイソルのFW細谷真大選手(22)は、チームとしてのタイトル獲得に並々ならぬ思いを持っている。天皇杯全日本選手権は、昨年は決勝でPK戦の末に頂点に届かず、リベンジを誓って臨んだ今年は21日に16強で姿を消した。試合後に心境を聞いた。

 「去年の借りを返さないといけないと思っていた。良い戦いができている中で勝ちきれなかったのは、自分たちの甘さ」

 ホームで迎えた21日の天皇杯4回戦。昨季J1王者のヴィッセル神戸と対戦し、開始3分で失点して、それを守り切られ0―1で敗れた。ベンチスタートだった細谷選手は、後半12分から途中出場した。

【柏-神戸】後半、相手のマークを外す細谷真大選手(左)=千葉県柏市の三協フロンテア柏スタジアムで2024年8月21日、高野裕士撮影

 「『DFの背後への抜け出しが少ない。自分の良さを生かしてほしい』と(チームスタッフから)言われていた。(得点に必要だったのは)間違いなく質のところ。何本かクロスも入ってきたので、練習でやっている(ゴール前への)入り方や、相手を見ながら(前に)進めるところがもっと必要」

 天皇杯は一発勝負のトーナメント戦で行われる。自身は今夏、U23(23歳以下)日本代表としてパリ・オリンピックに臨んだ。日本は1次リーグで3戦全勝したが、決勝トーナメント初戦の準々決勝でスペインに0―3で敗れて敗退した。天皇杯で改めて感じた一発勝負の難しさについて、こう語った。

 「やっぱり点を決めないと次に行けない。相手(神戸)も(決勝点になった)あの1本のシュートを決めきった。質のところで負けたと思っている」

 この試合のシュート数は柏が12本、神戸が7本。柏には決定機が何度もあっただけに、スタジアムにはため息が漏れた。

 今季のJリーグ開幕直前の2月。自身の海外クラブへの移籍も取り沙汰された中、細谷選手は柏で戦う思いをこう語っていた。

 「(昨年の)天皇杯でああいう負け方をして、自分も決定機があった中でチームを勝たせられなかった。自分の実力不足だった。アカデミー時代からこのチームをずっと背負ってきているので、(柏で)タイトルを取りたいとずっと思っている」

 昨年の天皇杯は決勝に進出し、12月に頂点を懸けて川崎フロンターレと対戦した。細谷選手は後半と延長前半に相手GKと1対1になる場面があったが、ゴールを奪えなかった。0―0で突入したPK戦は、10人目のキッカーまでもつれた末に敗れた。

 「タイトルを取りたいとチーム全員で思っている。なかなかレイソルでタイトルを取れていないのも事実。去年にあそこ(決勝)まで行ったのは、やれることを証明できたと思っている。今年は優勝したかったけど、リーグ戦しか残っていない。一つでも上の順位に行きたい」

 細谷選手は神戸戦後にそう語った。

 チームの主要タイトル獲得は2013年のヤマザキナビスコカップ(現YBCルヴァン・カップ)優勝を最後に遠ざかる。そのルヴァン杯は6月に敗退が決まった。今季残された戦いはJ1リーグ戦のみ。現在20チーム中16位。J2降格圏とは勝ち点5差となっており、巻き返しが求められている。【構成・高野裕士】

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