将来のラグビー日本代表育成促進を目的とした日本協会の新プログラムが25日、東京都内で行われた。選抜された14人の大学生に、日本代表のエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)が技術指導などを実施。取材では、2015年ワールドカップ(W杯)イングランド大会をともに戦い、24日に今季限りでの現役引退を表明した田中史朗選手(リーグワン・NECグリーンロケッツ東葛)との思い出も振り返った。
田中選手はジョーンズHCが前回日本代表を率いた12~15年に主力選手の一人だった。徹底的に管理して肉体と精神を追い込む「エディー流」に、田中選手は疑問点や納得できない点などを率直に意見することも珍しくなかった。その後、日本代表は15年W杯の1次リーグで優勝候補の南アフリカを倒すなど3勝を挙げ、8強入りはならなかったが、新たな歴史を築くことができた。
ジョーンズHCは「リーチ(・マイケル)だったり、広瀬(俊朗)だったりが注目され、確かに大事な選手だった」と当時のチーム状況を思い返した上で、田中選手の存在感の大きさを強調。「でもフミ(田中)が一番、チームを変えるためにドライブしてくれた。ハイランダーズでプレーした経験もあった。日本選手であることに誇りを持ち、本当に日本のラグビーを変えてくれた」と感謝した。
特にたたえたのが田中選手の精神面。「強いタックラーではなかったが、素晴らしいディフェンダーだった。皆を前に出す、という態度を示してくれた。(まず自分が)前に出て、相手にたたみかける。そこが素晴らしかった」と積極的な姿勢を評価する。
たまにケンカ「いいファイト」
15年のW杯前には新宿で一緒に昼食を取り「ただW杯でプレーするだけではなく、これは日本の未来のラグビーのための大会だ」と語り合ったという。ジョーンズHCは「彼はそれを体現して、その感情を周りに浸透させてくれた。たまにはケンカもしました。でもいいファイトでした」と笑った。
また田中選手が「将来的に日本代表HCになりたい」と記者会見で語ったことを聞いたジョーンズHCは、日本語で「どうぞ(笑い)」と即答。「ラグビーを本当に理解している。いいコーチになれると思う。彼自身のやり方を見つけていくこと(が大事)」とエールを送った。【角田直哉】
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