スーパースターにふさわしい劇的なかたちで記録を塗り替えた。
米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手(30)が史上最速で「40本塁打、40盗塁(40―40)」を達成したのは、サヨナラ満塁本塁打だった。大リーグの公式X(ツイッター)は「サヨナラ、グランドスラムで達成できるのはショーヘイ・オオタニただ一人だ」と投稿した。
日本選手初の大リーガーの村上雅則さん(80)は「まるでストーリーができあがっていたみたいだ。本当にすごいことを成し遂げた」と感嘆した。
類いまれなパワーとスピードを兼ね備えた打者にしかできないとされる「40―40」。過去5人の達成者しかいないが、どのような価値があるのか。村上さんは「足の速い選手はそんなに本塁打は打てないものだし、逆もしかり。(大リーグの象徴で投打二刀流もこなした)あのベーブ・ルースだって、ここまではできなかったのだから」と語る。
米球界に詳しい野球文化学会会長の鈴村裕輔・名城大准教授(比較思想、文化研究)は「過去の達成者の中にはダーティーなイメージがつきまとう選手もいる。大谷選手はそこが大きく違う」と指摘する。
1988年に初めて達成したホセ・カンセコ、歴代最多本塁打記録を持つバリー・ボンズらは薬物疑惑が取りざたされた。プロスポーツの世界で「クリーン」であることはスターの絶対条件だ。
大谷選手は昨年9月に右肘の手術を受け、今季は打者に専念してきた。鈴村さんは「ホームランが重視されがちな大リーグで打って、走ってという野球のスリリングな魅力を体現している」とたたえる。
史上最速で記録に到達したことで、前人未到の「50本塁打、50盗塁」への期待も高まる。村上さんはこうつぶやいた。「いろいろ難しさはあるが、大谷選手なら不可能じゃない。そう思えてくる」【田原和宏】
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