【京都国際-関東一】京都国際の先発・中崎=阪神甲子園球場で2024年8月23日、吉田航太撮影

高校野球・夏の甲子園決勝(23日)

○京都国際2―1関東一(東東京)●

 エースとしての覚悟が詰まっていた。京都国際は、先発左腕・中崎琉生(るい)が9回無失点と好投し、初優勝への流れを作った。

 球速は130キロ台だが、直球には切れがあった。制球力も抜群。左打者には外角のコーナーを攻め、右打者には積極的に内角を突いた。三回までパーフェクト投球の立ち上がりだった。

 初安打を許した四回。2死一塁で迎えた右打者の4番・高橋徹平との勝負は見応え十分だった。

 初球は外角直球でストライクを奪うと、2球目はボール一つ分ぐらい外したボール球の直球で空振りを誘った。外角に2球ボールが続いた後の5球目。内角低めに133キロの直球を投げ込むと、高橋のバットは空を切った。外の意識を植え付けてからの渾身(こんしん)の内角攻め。中崎は「(捕手から)今日は内角を多めに使うと言われていたので思い切って投げた」と振り返った。

 九回は2死満塁でサヨナラのピンチを招いたが、得点は許さなかった。タイブレークとなった延長十回は2年生の西村一毅に託した。

 今大会4度目の先発だった。21日の青森山田との準決勝では2失点し、四回でマウンドを降りた。「ふがいないピッチングだった」。エースとしての責任を果たすためにも、決勝でマウンドに上がるつもりだった。休養日だった前日の夜、小牧憲継監督から「お前でいくから」と伝えられると、スイッチが入った。

 今春のセンバツ大会では、青森山田を相手に115球を投げ抜いたが、結果はサヨナラ負け。その悔しさがあるからこそ、走り込みなどのつらい練習を重ねてきたという。「『低く丁寧に』という投球を夏の大会の期間ずっと言い続けてきた。その集大成が今日の投球に出た」。全てが報われた104球だった。【高橋広之】

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