【京都国際-青森山田】六回表京都国際1死満塁、長谷川が2点適時打を放つ=阪神甲子園球場で2024年8月21日、中川祐一撮影

高校野球・夏の甲子園準決勝(21日)

○京都国際3―2青森山田●

 暑さ対策で五回終了時に10分間の休憩に入るクーリングタイム。京都国際の選手は青森山田のエース・関浩一郎がマウンドに入ったのを見て、奮い立った。当時の雰囲気を小牧憲継監督が振り返った。「(2点差で)気持ちが切れかかっていたが、関君がブルペンに入った瞬間に『よし、行くぞ』という雰囲気になった」

 1死から2番・三谷誠弥が中前打で出塁すると、沢田遥斗も左前打で続いた。死球で好機を広げ、2年生の5番・長谷川颯(はやて)が打席に立った。長谷川は「このピッチャー(関)を打って勝ちたい気持ちが強かった」という。2球目のフォークが落ちきらないところにうまくバットを合わせて右前に運ぶと、同点の2点適時打となった。さらに投ゴロの間に勝ち越しに成功した。青森山田の兜森崇朗監督が「関で失点したダメージは大きい」と肩を落とすほどだった。

 京都国際は、青森山田と対戦した今春のセンバツ1回戦で、先発した関に8回3失点と踏ん張られた末に3―4でサヨナラ負けした。青森山田との再戦が決まると、関の映像を見ながら球威に振り負けないように、実際のマウンドより近い距離から投げてもらうなどの練習を繰り返した。

 投手もやっていた長谷川はセンバツ以降は、広角に打ち分ける打撃センスを買われて野手に専念した。「センバツではチームに貢献できなかった。夏は一つでも自分の仕事を果たせるようにという気持ちだった」。その言葉通り、春夏初となる決勝進出が懸かった大一番で役割を果たした。

 小牧監督は「センバツが終わってから『つないで、つないで』っていうこだわって練習してきた部分があのイニング。選手の頑張りって本当にすごい」と感無量の表情だった。右翼手の長谷川は逆転した直後の六回の守備でも魅了。1死一塁から右前打で三塁に進もうとした一塁走者を刺し、攻守での活躍を見せた。

 「束になった打線で勝てた。決勝も全員でつないでいきたい」と長谷川。春の悔しさをバネに成長した打線で初の頂点をつかみにいく。【深野麟之介】

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