(17日、第106回全国高校野球選手権大会3回戦 小松大谷3―6智弁学園)

 苦しんだ先に躍動の夏が待っていた。小松大谷の7番、坂田陸選手(3年)は13打数無安打だった石川大会から一転、夢の甲子園では3試合すべてで安打を放った。

 この日は4回打席に立ち、2安打1死球で1得点。「打撃は変えていない」という。「この夏、甲子園に立てるのは石川県で自分たちだけ。下を向いとっても絶対、結果はついてこんと思った。楽しもうって。それが原点だから」。その心に結果がついてきた。

 二回表の第1打席は無死一塁でバスターのサインに応え、技ありの右前安打。勝ち越しの本塁を踏んだ。第3打席では「チームが苦しんでいた低めの変化球さえ見極めれば、絶対に直球が来る」とこらえ、直球をセンター返しした。

 この日はチームで2失策1暴投があり、攻撃では11残塁。「自分たちから守りで崩れてしまった。本当に悔しい」と話したが、最後まで攻め続けた。

 父は消防士。元日の能登半島地震でも正月から被災地に入っていたという。「自分も消防士になって人を救いたい」(土井良典)

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