1回戦で「R.Y.U.S.E.I.」のダンスを踊る滋賀学園の野球部員=兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で、2024年8月7日午前10時45分、菊池真由撮影

 第106回全国高校野球選手権大会(日本高校野球連盟など主催)で初の準々決勝進出を果たした滋賀学園。3試合連続2桁安打の強打に劣らない注目を集めているのがアルプススタンドで鋭い動きのユニークなダンスを披露する野球部員だ。SNS(ネット交流サービス)では「キレキレ」と話題騒然で、「応援を見続けたいから優勝してほしい」との声が上がるほどだ。【菊池真由】

 キレキレダンスは滋賀学園の「伝統芸」だ。2016、17年の選抜大会に出場した時にも「キレが良すぎる」とSNSが盛り上がった。

 振り付けは野球部員で作る応援団が考え、主要メンバー一人一人にあった曲をチョイスする。沖縄出身の国仲優星(3年)には「ハイサイおじさん」、5番の仲田隆玖(りゅうく)(3年)は名前にかけて、「R.Y.U.S.E.I.」など。数十人が全身を使って息を合わせて踊り、まるで舞台をみているようだ。

2回戦で「メガロバニア」を踊って応援する滋賀学園の野球部員=兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で、2024年8月13日午後5時52分、菊池真由撮影

 特にSNSで投稿が多いのが、滋賀学園が高校DX加速化推進事業(DXハイスクール)に指定されていることから取り入れたコンピューター音楽の「メガロバニア」。「センスが神」「動きがかわいい」などと絶賛されている。

 ダンスを引っ張っているのは、野球部でムードメーカー的な存在の応援団長、荒井浩志(3年)。表情から作り込み、誰よりも激しいダンスを披露する。

 スタンドのダンスが多くの視線をくぎ付けにするのは完成度が高いからこそ。だが、ここまで仕上げるのは簡単ではなかった。誰もが荒井のように堂々と踊れるわけではなく、特に1年生は、癖の強いダンスに圧倒される部員も多かった。

 荒井はそんな部員を声を出せる部員の横に配置をしたり、先輩部員につかせて一緒に練習させたりするなど、細かい配慮をしてきた。チアリーディング部とも練習を重ねて、今では全員がキレキレで踊れるようになった。

 ダンスで盛り上がるスタンドに後押しされるように滋賀学園は夏の甲子園初勝利から快進撃を続けている。特に打線は3試合で計39安打とバットも「踊っている」。春夏通じて初の4強入りをかけて青森山田と対戦する準々決勝に向けて荒井は、「応援に集中しすぎて、試合展開がわからなくなるのは(滋賀学園の応援の)あるある。選手たちが良いプレーをできるように全力で応援してきたい」と意気込んだ。

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