(14日、第106回全国高校野球選手権大会2回戦 西日本短大付13―0菰野)

 一回表、先頭打者が出塁し、西日本短大付の2番・井上蓮音(れお)選手(2年)に打席が回ってきた。「送りバントかな」と思ったが、1ボール1ストライクからの3球目に出されたサインは、バスターエンドラン。でも、驚きはしない。内寄りの直球をひっぱると、三塁線を抜ける適時二塁打に。先制の奇襲攻撃が決まった。

 俊足の1番・奥駿仁(はやと)選手(2年)が出て、小技が得意な自分が犠打で送り、中軸がかえす。教科書通りの得点パターンを、福岡大会から着実に実行してきた。だが相手は2年生主体のチーム。「少し慌てさせよう」。西村慎太郎監督が仕掛けた。

 スポーツは何でもできるし、器用だと思う。中学生のころ、急に慣れない外野を守らされてもそつなくこなせた。難しい飛球も好捕できた。

 この日、相手先発は左腕のエースと予想したが、実際は右投手。それでも「対応できる」と自信を持って臨み、9日の金足農(秋田)に続いて先制の適時打を放った。遊撃手として難しい打球をうまくさばき、守備のリズムも作った。打撃も守りも、器用だとうぬぼれず、コツコツと練習を重ね、準備した成果だ。

 次は強豪の京都国際が相手だが、気負いはない。出塁率の高い1番と、頼りになる3年生の中軸。その間に挟まれ、「自分は、つなぐ意識でやるだけだ」。(石垣明真、太田悠斗)

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