【霞ケ浦-智弁和歌山】霞ケ浦の先発・市村=阪神甲子園球場で2024年8月13日、山崎一輝撮影

 第106回全国高校野球選手権大会(日本高野連など主催)第7日の13日、茨城代表の霞ケ浦は初戦の2回戦で強豪・智弁和歌山を延長タイブレークの末5―4で退け、春夏通じて4度目の甲子園で悲願の初勝利を手にした。3回戦は大会第10日第4試合(16日午後3時45分開始予定)で滋賀学園と対戦する。

霞ケ浦・市村才樹投手(2年)

 球速は出ずとも、数々の名投手を育ててきた高橋祐二監督をして「独特の角度」と言わしめるフォームで投げ込む多彩な球種を駆使する。元球児の父隆行さん(53)が「今までで一番良い」と認める投球で、七回まで被安打3。八回に浴びた連続本塁打にも、表情を変えずにマウンドを降りた。

 父の影響で野球を始めた。小学6年生で身長が165センチあり左投げだったことから、当時の指導者に勧められ投手に。霞ケ浦では1年の夏から登板し、「負けたら後悔どころじゃない」と必死に食らいついた。189センチの上背と長い腕も武器で、高橋監督は「強豪校相手にもゲームを壊さず投げる安定感がある」と評価する。

 この日に備えて智弁和歌山の名物応援歌「ジョックロック」を就寝時に欠かさず聞いてきた。前日は「緊張しかない」と語っていたが、対戦後は、「魔曲」とも呼ばれる応援歌を「聞いて楽しかった」と強気を見せる場面も。追いつかれたことを「踏ん張りきれず球が甘くなった」と悔やんだが、「甲子園で校歌を歌う目標達成に、少しでも力になれてうれしい」と最後は笑顔を見せた。【斉藤瞳】

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