目次
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《1日目》これまでにない開会式
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《2日目》メダル第1号と池江の涙
《1日目》これまでにない開会式
開会式は夏のオリンピックで初めてスタジアムの外が舞台となりました。大会に参加する合わせて200ほどの国や地域の選手たちが、パリ市内を流れるセーヌ川で大小さまざまな舟に乗ってパレード。日本選手団は全体の93番目に登場し、ブレイキン男子でダンサーネームShigekixの半井重幸選手と、フェンシング女子の江村美咲選手が旗手を務めました。
開会式当日にフランス国内の高速鉄道TGVの複数路線で沿線設備が燃える事件が起き、警戒感が高まる中での開幕となりましたが、パレードの最中にはアメリカの人気歌手レディー・ガガさんの歌や、パリの老舗キャバレー「ムーラン・ルージュ」のダンサーたちによる踊りなども披露され、華やかな雰囲気で大会の盛り上げにひと役買っていました。空中に浮かび上がる聖火台も斬新でした。
パリオリンピック【結果】7/26~27タイムライン 大会が開幕
《2日目》メダル第1号と池江の涙
《金メダル》
柔道 女子48キロ級 角田夏実
《銅メダル》
柔道 男子60キロ級 永山竜樹
メダル第1号は“遅咲きのヒロイン”
日本のメダル第1号は柔道女子48キロ級の角田夏実選手でした。ともえ投げが最大の持ち味で、世界の強豪たちが「わかっていてもかかってしまう」と評するほどの破壊力です。31歳で初めてつかんだオリンピックの舞台でも、そのともえ投げから関節技に移行する得意の流れで勝利を重ねていきました。
そして決勝も、ともえ投げで技ありを奪って金メダルにつなげました。遅咲きのヒロインが獲得した金メダルは、夏のオリンピックで日本選手が獲得した500個目の節目のメダルになりました。
「頑張ってきた意味は あったのかな」
競泳の池江璃花子選手が2大会ぶりの個人種目となる女子100メートルバタフライに出場しました。2019年に白血病と診断されて闘病のために競技を離れ、前回の東京大会はリレー種目だけの出場でした。
期待に胸を膨らませて臨んだ大会でしたが、予選、準決勝ともに代表選考の大会でマークしたタイムにも届かず、決勝進出はなりませんでした。
「ここまでの努力は何だったんだろうと思うし、頑張ってきた意味はあったのかなと、そんな気持ちでいっぱい」
胸のうちをさらけ出した池江選手。
それでも「4年後、リベンジしに戻ってきたい」としっかりと前を向いていました。
パリオリンピック【結果】7/27~28タイムライン 角田夏実が金
《3日目》きょうだいの絆 諦めない力
《金メダル》
柔道 男子66キロ級 阿部一二三
スケートボード 女子ストリート 吉沢恋
フェンシング 男子エペ個人 加納虹輝
《銀メダル》
スケートボード 女子ストリート 赤間凛音
競泳 男子400メートル個人メドレー 松下知之
躍進は ここから
大会3日目は日本のメダルラッシュとなりました。
フェンシングの男子エペ個人では加納虹輝選手が金メダル。フェンシング個人種目では初の快挙となり、その後の大躍進のきっかけをつくりました。
スケートボード女子では吉沢恋選手が金メダル、赤間凛音選手が銀メダルを獲得しました。日本のスケートボード女子ストリートは西矢椛選手が金メダルを獲得した東京大会から格段に技のレベルが上がり、選手層も厚くなりました。新たな日本の“お家芸”としてこれからの進化が楽しみになる結果でした。
「大丈夫、また一緒にやろう」
阿部一二三選手と阿部詩選手がきょうだいでのオリンピック連覇を目指しましたが、妹の詩選手がまさかの2回戦敗退。
絶叫するような大きな泣き声をあげて崩れ落ちる姿に、その悔しさが凝縮されていました。
兄の一二三選手は「妹の分まで戦うということだけを言い聞かせた」と畳に向かい、見事に金メダルを獲得。妹に何と声をかけるかを尋ねられると「大丈夫、また一緒にやろう」と力強く答えていました。
なでしこはあきらめない!
サッカー女子のなでしこジャパンは予選リーグ初戦でスペインに敗れ、第2戦でブラジルと対戦。1点リードされたまま後半もアディショナルタイム、このまま負ければ2連敗となる絶対絶命のピンチという中、終了間際にペナルティーキックを獲得。実はなでしこジャパンは、直近の国際大会から5回連続でペナルティーキックを失敗していました。
プレッシャーのかかる場面でキッカーを務めたのはキャプテンの熊谷紗希選手。
2011年の女子ワールドカップで優勝を決めたときと同じように豪快に成功させて同点に追いつきました。
さらにその直後、途中出場した19歳の谷川萌々子選手が相手のゴールキーパーが前に出ていたのを見逃さず頭上を越える鮮やかなロングシュートを決め、劇的な逆転勝利をおさめました。
なでしこのあきらめない姿勢は、翌日の競技にもつながっていきます。
パリオリンピック【結果】7/28~29タイムライン
《4日目》逆転劇と“初老”の快挙
《金メダル》
体操 男子団体
スケートボード 男子ストリート 堀米雄斗
《銅メダル》
馬術 総合馬術団体
柔道 男子73キロ級 橋本壮市
柔道 女子57キロ級 舟久保遙香
逆転!逆転!金メダル!
体操男子団体の決勝で、日本はエースの橋本大輝選手が2種目目のあん馬で落下するなど苦しい戦いを強いられていました。6種目中5種目が終わった時点で2位につけるも、トップの中国に3点余りの差をつけられ、目標の金メダルに赤信号がともりかけていました。
このあとまさかの出来事が起きます。最終種目の鉄棒で、中国の2人目の選手が2度の落下。日本はエースの橋本大輝がミスなく着地も完璧に決めて高得点をマークし、奇跡ともいえる大逆転で金メダルを獲得しました。谷川航選手は「なでしこジャパンのブラジル戦を見て、あきらめないことの大切さを学んだ」と話しました。
逆転劇はスケートボードでも。連覇を狙う堀米雄斗選手は最後の1回を残して7位と苦しい状況に立たされていました。その土壇場で、270度回転しボードの後ろ部分をレールに滑らせる起死回生の大技を成功させ、逆転で2大会連続の金メダルを獲得しました。堀米選手は「自分との戦いだった。今までそのトリックを練習でやってきたことを思い出して、わずかな時間でも練習で合わせて成功させることだけをイメージしていた」と振り返りました。
“初老ジャパン” 92年ぶりの快挙!
馬術の総合馬術団体で日本が銅メダルを獲得。日本の馬術でのメダル獲得は1932年のロサンゼルス大会以来で92年ぶりの快挙となりました。
日本は上位2位までにオリンピックの出場権を与えられる地域予選で3位に終わったものの、2位の中国の馬から規制薬物が検出され、繰り上がりでパリへの切符をつかみました。思わぬ形で舞い込んできたチャンスをいかし、美しい騎乗をみせて減点を抑え、団体では初めてとなるメダル獲得につなげました。メンバー4人の平均年齢は41.5歳。みずからを「初老ジャパン」と名乗ってSNSなどで話題を集めました。
パリオリンピック【結果】7/29~30タイムライン
《5日目》残り10秒で逃した勝利
《金メダル》
柔道 男子81キロ級 永瀬貴規
明暗分かれた“お家芸”
柔道男子81キロ級で永瀬貴規選手がこの階級初のオリンピック連覇を果たしました。リオデジャネイロ大会で銅メダル、前回の東京大会で金メダルを獲得し、今大会が3回目の出場のベテランは、5試合すべてで相手に技のポイントを1つも取られない圧倒的な強さを見せました。
競泳では男子200メートルバタフライ予選に本多灯選手が出場。東京大会で銀メダルを獲得し、エースとしての活躍が期待されていた本多選手でしたが、自己ベストから4秒以上も遅いタイムでまさかの敗退となりました。
競泳の日本代表はこのあとも不振が続き、メダルは松下知之選手が男子400メートル個人メドレーで獲得した銀1つに終わりました。メダルが1個以下だったのは、1つも獲得できなかった1996年のアトランタ大会以来でした。
残り10秒から するりと…
バスケットボール男子は前回銀メダルの強豪フランスを相手につかみけていた勝利がするりとなくなりました。
日本は残り10秒で4点をリード。スリーポイントシュートを決められても逃げきれる状況でした。しかし河村勇輝選手がスリーポイントを成功させた選手へのファウルをとられ、フリースローも与えて同点に追いつかれてしまいました。
日本は延長戦の末90対94で敗れ、不戦勝を除くとオリンピックでは52年ぶりとなる歴史的な白星を目前で逃しました。
バスケットボールは前回銀メダルの女子も含め、1勝もできずにパリを去ることに。世界の舞台で継続して結果を出す難しさを突きつけられた大会となりました。
パリオリンピック【結果】7/30~31タイムライン
《6日目》内村 橋本 つないできた王者の伝統
《金メダル》
体操 男子個人総合 岡慎之助
《銀メダル》
柔道 男子90キロ級 村尾三四郎
“体操ニッポン”に新星現る!
初出場の岡慎之助選手が個人総合で金メダルを獲得しました。
持ち味は柔軟性のある美しい演技で、その才能は以前から高く評価されてきました。最初のゆかで高得点をマークすると、その後も高い出来栄えの演技を続けて優勝。この種目で日本勢は4大会連続での金メダルとなり、内村航平さん、橋本大輝選手がつなげてきた伝統を20歳の新星がつなぎました。
あん馬でのミスが響き6位となった橋本大輝選手も「彼がけがをしてここまで乗り越えて、彼のその努力と諦めなかった強さに僕も本当に感動した」と岡選手をたたえました。岡選手はその後の種目別でも表彰台に上がり、団体のメダルを含めると金3つ、銅1つを獲得。堂々のオリンピックデビューを果たしました。
パリオリンピック【結果】7/31~8/1タイムライン
《7日目》歴史を変えた“虎”たち
《銅メダル》
フェンシング 女子フルーレ団体
“パンダ”から“虎”へ?
フェンシングの女子フルーレ団体が銅メダルを獲得しました。
フェンシングの女子種目でのメダル獲得は初めてで、まさに歴史を変える出来事。7年前から指導してきたフランス人のフランク・ボアダンコーチは「パンダの時代はとっくの昔に終わった。選手たちはきれいな4匹の虎になった」と総括しました。
就任当初、ボアダンコーチが日本の女子選手たちに伝えたのは世界からどう見られているかということ。かわいくておとなしい“パンダ”と表現し、技術はあっても怖くない存在だと厳しい現実を突きつけました。
徹底したのが選手に自信をつけさせる声かけでした。自分たちには素質があり、十分な実力があるという自覚を芽生えさせました。勝利への執念が身につけば世界の壁を越えられると確信していたのです。
ボアダンコーチのもとで国際舞台でも戦える“虎”へと成長した選手たち。団体戦を戦った宮脇花綸選手は「私が日本代表に入ったときはオリンピックに出るのが目標で、メダルなんて考えられない状況だった。ボアダンコーチが来てみんなが強くなって実現したメダル」と喜びました。
“自分に拍手”からの…
日本の競泳史上最年長となる33歳で3回目のオリンピックに臨んだ鈴木聡美選手が女子200メートル平泳ぎに出場しました。
12年前のロンドン大会では同種目で銀メダルを獲得するなど競泳界を引っ張ってきた鈴木選手は、2分22秒54で4位入賞と大健闘。「選考会より速く泳ぐという最低限の目標は達成できてよかったので、自分に拍手したい」と話しました。
女子400メートルメドレーリレーにも第2泳者で出場し、2人を抜く力強い泳ぎで5位入賞に貢献。レース後には「改めて現役続行だな」と力強い宣言も飛び出し、不振の続く競泳陣の中でベテランが輝きを放ちました。
パリオリンピック【結果】8/1~8/2タイムライン
《8日目》出会えて よかった
《銀メダル》
フェンシング 男子エペ団体
《銅メダル》
バドミントン 混合ダブルス 渡辺勇大 東野有紗
悔しさ半分 うれしさ半分
快進撃が続くフェンシングが、男子エペ団体で銀メダルを獲得しました。
決勝は個人で金メダルを獲得した加納虹輝選手が最終盤に追いつきながらも延長戦で敗れ、東京大会に続く連覇はなりませんでした。
加納選手は「悔しさ半分、うれしさ半分。間違いなく手応えがあり、自信がある。次のロサンゼルス大会では個人と団体の金を目指してやっていきたい」と早くも次なる偉業を見据えました。
バドミントン混合ダブルスでは渡辺勇大選手と東野有紗選手が2大会連続の銅メダルを獲得しました。
結成13年の「ワタガシ」ペア。
「本当に出会ってよかった(東野)」
「いろいろあったが、もう1回表彰台にあがることができてよかった(渡辺)」
絆を深めて再びつかみとった銅メダルに、前回とはまた違った価値を感じていました。
世界の壁に…
サッカー男子は世界の壁にはね返されました。予選リーグを3勝0敗、対戦相手に1点もとられず最高の形で決勝トーナメントに進んできた日本は準々決勝でスペインと対戦。前回東京大会の準決勝で延長戦の末に敗れた相手です。
日本は互角の攻防を繰り広げながら決めるべきところで決められず0対3で敗戦。大岩剛監督の悔し涙が印象的でした。
新記録連発!フランスの星
競泳では地元フランスの22歳、レオン・マルシャン選手にスポットライトがあたっていました。400メートル個人メドレー、200メートルバタフライ、200メートル平泳ぎ、いずれもオリンピック記録を更新して金メダルを獲得しました。
この日は最後の個人種目となった200メートル個人メドレーに出場。地鳴りのような大歓声が会場に響く中で前半のうちに先頭に立つと、後半一気に後続を突き放し、ここでもオリンピック記録を更新して金メダルを獲得しました。
パリオリンピック【結果】8/2~8/3タイムライン
《9日目》リネールの壁は 今も高く
《銀メダル》
柔道 混合団体
《銅メダル》
卓球 女子シングルス 早田ひな
バドミントン 女子ダブルス 志田千陽 松山奈未
フェンシング 女子サーブル団体
立ちはだかった フランスの英雄
柔道の混合団体、決勝は日本とフランスの対戦。日本にとっては前回東京大会の決勝で敗れた因縁の相手です。
日本は1人目で村尾三四郎選手が勝ち、2人目は高山莉加選手が階級が上のメダリストから大内刈りで技ありを奪って優勢勝ち。2連勝と試合を優位に運びました。
ここから立ちはだかったのが、テディ・リネール選手でした。
今大会の個人種目で3個目の金メダルを獲得したフランスの英雄は3試合目で斉藤立選手に一本勝ちしてチームに勢いをもたらすと、3対3で並んだ代表戦でも再び斉藤選手を寄せつけず2連覇に導きました。日本にとっては悔しい銀メダルとなりましたが、両国の熱戦に競技会場は大会一番とも言える盛り上がりを見せていました。
後悔しないように
卓球女子シングルスの3位決定戦では早田ひな選手が韓国のエースに勝って銅メダルを獲得しました。
前日の準決勝では大会中に痛めた左腕に黒いテーピングを巻く痛々しい姿がありました。目標としてきた世界ランキング1位、中国の孫頴莎選手と対戦でしたが「自分のコンディションが100パーセントではなく限界を感じた」とストレートで敗れました。
3位決定戦には痛み止めの注射を打っての出場。「後悔しないように、どんな結果になっても最後までやり続ける気持ちで1ゲーム1ゲームを戦った」という思いでたどりついた銅メダルでした。この種目では卓球が正式競技として採用された1988年のソウル大会以来、中国選手が10連覇。「卓球王国」の強さを改めて見せつけました。
パリオリンピック【結果】8/3~8/4タイムライン
《10日目》9秒台でも 世界はその先に
《金メダル》
フェンシング 男子フルーレ団体
《銅メダル》
ゴルフ男子 松山英樹
メダルの“価値”
海外メジャーを制した世界のトップ選手が出そろったゴルフ男子で、松山英樹選手が存在感を示しました。第1ラウンドで単独トップに立つとその後も安定した内容で首位争いを続け、銅メダルを獲得しました。
前回の東京大会では銅メダルを争うプレーオフで敗れました。今大会は最終ラウンドでスコアを6つ伸ばす会心のゴルフで競り勝ち、雪辱を果たしました。松山選手は「日本の男子で初めてのメダルだと思うのでこの価値はすごくある」と笑顔を見せました。
フェンシングの男子フルーレ団体は金メダルを獲得。フェンシングは出場した団体種目すべてでメダルを獲得し、個人種目を合わせて5つのメダル。大躍進の大会となりました。
世界は さらに速い
陸上男子100メートル準決勝にはサニブラウン アブデル・ハキーム選手が出場。世界選手権に続く決勝進出をねらいました。自己ベストを更新する9秒96をマークしましたが、この組の4着で敗退。
決勝は上位の選手が横一戦でフィニッシュする大激戦のすえ、アメリカのノア・ライルズ選手が9秒79で金メダルに輝きました。7位までが9秒8台をマーク。世界はさらに速くなっていました。
パリオリンピック【結果】8/4~8/5タイムライン
《11日目》マッチポイントを握りながら
《金メダル》
体操 男子種目別鉄棒 岡慎之助
《銅メダル》
体操 男子種目別平行棒 岡慎之助
キャプテンとして エースとして
体操の新星・岡慎之助選手が52年ぶりとなる金メダル3つ獲得の偉業を成し遂げたこの日、バレーボール男子で日本がイタリアとの準々決勝に臨みました。フルセットの激闘のすえに敗れ、48年ぶりの準決勝進出を逃しました。
何度もマッチポイントを握りながら決めきれず、石川祐希選手は「僕が決めきれずこういう結果になり責任を感じている。キャプテンとしてもエースとしても力不足だった」とことばを絞り出すように話しました。
ただ石川選手をはじめ中心選手はまだ20代。いずれも海外のトップリーグで活躍できる実力を持っています。強豪のイタリアと互角に渡り合った試合内容からも、半世紀以上遠ざかっているメダルへの道は次こそ切り開けるのではと予感させる戦いぶりでした。
「限界 考えたこともない」
世界記録更新に競技会場が沸きました。
パリの夜空に羽ばたいたのは、スウェーデンのアルマンド・デュプランティス選手です。陸上男子棒高跳びの決勝で自身が持つ世界記録を1センチ更新する6メートル25センチをマーク、オリンピック連覇を果たしました。実に9回目となる世界記録の更新で、デュプランティス選手は「限界は考えたこともない」とさらなる高みを見据えていました。
パリオリンピック【結果】8/5~8/6タイムライン
《12日目》メダルラッシュ、開始!
《金メダル》
レスリング 男子グレコローマンスタイル60キロ級 文田健一郎
《銀メダル》
スケートボード 女子パーク 開心那
《銅メダル》
レスリング 女子68キロ級 尾崎野乃香
60年ぶりの快挙!
レスリングのメダルラッシュは、男子グレコローマンスタイル60キロ級の文田健一郎選手の金メダルから始まりました。77キロ級の日下尚選手も続き、1964年の東京大会以来となるグレコローマンスタイルでの複数の金メダルとなりました。
上半身だけを使って争い、組み合った状態から相手の胴体をつかんで豪快に投げる技などが見どころのグレコローマンは、子どもには安全面で懸念があるとして中学生以下の全国大会では実施されていません。文田選手は「日本のグレコローマンがこのまま順調に歩んでいくきっかけの金メダルになったらいいと思う」と期待していました。
ストリートでもパークでも
スケートボード女子パークで開心那選手が2大会連続の銀メダルを獲得しました。大会前半に行われたストリートと合わせると日本のメダルは4個となり、この競技のメダル数は前回の東京大会に続いて国・地域別で最多となりました。
パリオリンピック【結果】8/6~8/7タイムライン
《13日目》初の決勝進出 さらなる飛躍へ
《金メダル》
レスリング 男子グレコローマンスタイル77キロ級 日下尚
《銅メダル》
レスリング 女子50キロ級 須崎優衣
観客の前で 金メダルを取るまでは
前日の1回戦でまさかの敗戦を喫したレスリング女子50キロ級の須崎優衣選手。3位決定戦では圧倒的な強さを見せて銅メダルを獲得しました。
レスリング女子の日本代表ではただ1人、無観客で行われた東京大会を経験している須崎選手。「応援してくれる人たちに直接オリンピックで金メダルを取る姿を見てもらうまでは戦い続けていきたい」と、早くも4年後のロサンゼルス大会を見据えていました。
快挙!日本選手初の決勝進出
男子110メートルハードルでは村竹ラシッド選手がこの種目日本選手で初めてとなる決勝進出を果たしました。日本記録を持っている1人で、翌日の決勝では5位入賞。「ものすごい経験値を得られた。来年は東京で世界選手権があるのでその時は必ずメダルを取りたい」と大舞台の経験を糧にさらなる飛躍を誓っていました。
パリオリンピック【結果】8/7~8/8 タイムライン
《14日目》137連勝で頂点に
《金メダル》
レスリング 女子53キロ級 藤波朱理
《銀メダル》
セーリング 混合470級 岡田奎樹 吉岡美帆
なんと中2から負け知らず
レスリング女子53キロ級で藤波朱理選手が金メダルを獲得しました。中学2年生のころから公式戦では負け知らずで、オリンピック前までに連勝記録を133に伸ばしていました。
ことし3月に練習中に左ひじを脱臼して手術した影響も懸念されていましたが、杞憂でした。父とともに磨き上げてきた組み手で優位に立ち、相手につけいる隙さえも与えず、連勝記録を137に伸ばして頂点に立ちました。
「これからの“藤波朱理”にも注目してほしい」
パリ大会が終わってもその類いまれな強さを見せ続けることを、最高の笑顔で誓いました。
難民選手団 初めてのメダル
2016年のリオデジャネイロ大会から結成された難民選手団に初メダルが生まれました。これまでの最高成績は4位でしたが、ボクシング女子75キロ級でシンディ ウィナー・ジャンケウ ヌガンバ選手が準決勝に勝ち進み、3大会目にして初のメダルとなる銅メダルを獲得しました。
ジャンケウ ヌガンバ選手はアフリカのカメルーン出身で、母国では法律で禁止されている同性愛者であることを公表し、イギリスで難民認定を受けています。
パリオリンピック【結果】8/8~8/9 タイムライン
《15日目》お家芸の復活 その先へ
《金メダル》
レスリング 男子フリースタイル 57キロ級 樋口黎
ブレイキン 女子 AMI(湯浅亜実)
レスリング 女子57キロ級 櫻井つぐみ
《銀メダル》
スポーツクライミング 男子ボルダー&リード 安楽宙斗
初代金メダリスト AMI
パリ大会で唯一の新競技、ブレイキン。DJがかける音楽に合わせて1対1で交互に即興でダンスを披露し、技術、表現力、独創性などを競います。ブレイキン女子では25歳、ダンサーネームAMIの湯浅亜実選手が多彩な技と完成度の高さで勝負し、初代金メダリストになりました。
4年後のロサンゼルス大会ではブレイキンは実施されませんが、新競技としてスカッシュとフラッグフットボールが採用されることが決まっています。AMI選手のような新しい風がオリンピックに吹くのか注目です。
収穫? 課題? レースから見えたのは
過去2回日本がメダルを獲得している陸上の男子400メートルリレー。日本は決勝で2大会ぶりのメダルを目指しました。
レースでは1走の坂井隆一郎選手が得意のスタートで飛び出し、サニブラウン アブデル・ハキーム選手が2走の中で最も早いタイムでバトンをつなぎました。3走の桐生祥秀選手もスムーズな走りを見せて、アンカーの上山紘輝選手にバトンがつながったときはトップでした。
しかしここから海外勢が走力の違いを見せ、日本は5位。メダルには届きませんでした。鮮やかなバトンパスでお家芸の復活を印象づけたことは大きな収穫となりましたが、再び表彰台に上がるために個々の力をあげていく必要性に迫られています。
パリオリンピック【結果】8/9~8/10 タイムライン
《16日目》前日に続くメダルラッシュ
《金メダル》
陸上 女子やり投げ 北口榛花
レスリング 女子62キロ級 元木咲良
《銀メダル》
卓球 女子団体 早田ひな 平野美宇 張本美和
飛び込み 男子高飛び込み 玉井陸斗
近代五種 佐藤大宗
レスリング 男子フリースタイル74キロ級 高谷大地
「うれしいだけじゃ足りない!」
前日に続くメダルラッシュの1日でした。
陸上女子やり投げでは北口榛花選手が1回目の投てきで今シーズンの自己ベストを更新する65メートル80センチをマーク。その後ほかの選手がこの記録を上回ることができず、金メダルを獲得しました。
去年の世界選手権に続く金メダル獲得で、日本の選手がオリンピックの女子のフィールド種目でメダルを獲得するのは初めてでした。
北口選手は「うれしいだけじゃ足りないくらい、ことばにできないくらいの気持ちで、いまだに実感がわかない」と喜びを話しましたが「選手村に入ってからは毎日夢の中で70メートルを投げていたので悔しい部分もある。次はかなえられるように頑張りたい」と次の目標を見据えていました。
中国の壁は厚く…
卓球女子団体の決勝、日本は4連覇中の中国の厚い壁に跳ね返されて銀メダルでした。
中国対策としてこれまでのオーダーを変更し、早田ひな選手と張本美和選手をダブルスに起用。中国のエース孫頴莎選手に唯一勝ったことがある平野美宇選手にシングルス2試合を任せることにしました。
しかし結果はストレート負け。ただダブルスで接戦に持ち込んだり、長いラリーを日本選手が制したりする場面も目立ち、光明は見えました。打倒・中国、そして金メダル獲得を目指す戦いはこれからも続きます。
「日本に帰って反応が見たい」
そう語ったのは近代五種で日本選手初のメダルとなる銀メダルを獲得した佐藤大宗選手です。ヴェルサイユ宮殿で行われた競技で佐藤選手は予選から上位争いを続け、決勝の最終種目となったレーザーランでは4位からスタート。安定した射撃の技術で2位に順位をあげてフィニッシュし、銀メダルを獲得しました。
近代五種はヨーロッパ勢が強い競技で、日本は1960年のローマ大会で初出場して以降、入賞すらありませんでした。
男子高飛び込みでは17歳の玉井陸斗選手が銀メダルを獲得しました。決勝最後の6回目の演技では、出場した選手の中で最も高い99.00の高得点をたたき出して花を添えました。
玉井選手は「飛び込みで日本人1号のメダル獲得ということもそうだし、銀メダルを獲得することができてすごくうれしい」と笑顔で話しました。
パリオリンピック【結果】8/10~11タイムライン
《17日目》締めくくりはレスリングの金!
《金メダル》
レスリング 男子フリースタイル65キロ級 清岡幸大郎
レスリング 女子76キロ級 鏡優翔
金8個!強かったレスリング
大会最終日はレスリングが男女で金メダルを獲得して大会を締めくくりました。
特に女子76キロ級の鏡優翔選手は、オリンピックで数々の実績を残しながらも日本の女子が頂点に立つことができていなかった最も重い階級で悲願の金メダルを獲得しました。鏡選手は「誰も成し遂げていないことを、私がこの手でつかめたのは本当にうれしい。今までやってきた選択の答え合わせが今ここでできたかな」とかみしめるように話していました。
パリ大会でレスリングの日本選手が獲得した金メダルは8個になり、前回の東京大会と1964年の東京大会の5個を上回り過去最多となりました。女子は全6階級すべてで金メダルという野望は実現できませんでしたが、金メダル4つ銅メダル2つと胸をはれる内容でした。
パリオリンピック 8/11~8/12タイムライン
各国・地域のメダル獲得数は
【NHKニュース】パリオリンピック2024
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