(11日、第106回全国高校野球選手権大会1回戦 鶴岡東2-1聖光学院)

 九回裏1死一、二塁、点差はわずか1点。聖光学院の打者に4球連続ファウルで粘られる。

 ここで、鶴岡東の億田知輝捕手(3年)はチェンジアップを要求。マウンドの桜井椿稀投手(3年)がかすかにほほ笑んだ。結果は狙い通りの遊ゴロ併殺。勝利が決まった。

 桜井投手は直球に伸びがあった。聖光学院とは練習試合で何度も対戦している。この日はいつもより直球を増やしており、最後はあえて変化球を決め球にした。

 山形大会の桜井投手は、球が浮いて打たれる場面も多かった。調子を取り戻そうと、練習で低い球を数多く投げさせた。隣で食事をし、たわいもない話でリラックスさせつつ、試合のビデオを一緒に見て反省点を話し合った。

 守備では二回無死一塁、キャッチャー前のバントを二塁で封殺。しっかり球を握れなかったので、ワンバウンドで送球した。「球が握れなかったときの送球練習をしている成果が出ました」

 三回の守備ではキャッチャーミットのひもが切れ、ベンチ前の鈴木瑛太捕手(3年)のもとに駆け寄りミットを借りた。

 「こういう事態を想定し、練習から鈴木のミットも使っていたんです」

 様々なことを想定し、準備を重ねてきた。

 山形大会は1安打だったが、甲子園初戦で2安打。鶴岡東の「頭脳」が攻守両面でのってきた。(坂田達郎)

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