【宮崎商-中京大中京】七回裏中京大中京2死一、三塁、杉浦が左前適時打を放つ=阪神甲子園球場で2024年8月10日、滝川大貴撮影

高校野球・夏の甲子園1回戦(10日)

○中京大中京(愛知)4―3宮崎商●

 中京大中京が迎えた夏の100試合目。チームをけん引する4番で主将の杉浦正悦(まさよし)が、バットと足で伝統校に9年ぶりの勝利をもたらした。

 1点を勝ち越された直後の七回裏2死一、三塁。追い込まれてから「最後は執念」と低めの変化球にしぶとく食らい付いた。打球は遊撃左を抜けて値千金の同点打となった。続く仲健太郎の適時打で勝ち越し、チームが持つ夏の通算最多勝利記録を79に伸ばした。

 180センチ、91キロと大柄な体格だが、足でもみせた。四回1死二塁、「足が速くなくても、三盗は隙(すき)があれば狙うチャンスがある」と自らの判断で三盗を試みた。すると、捕手の悪送球を誘い、先制のホームを踏んだ。

 夏は歴代最多7回の優勝を誇る中京大中京だが、昨秋は愛知大会の3回戦で敗れた。「このままじゃダメだ」。伝統的に「守りからリズムをつくる野球」を掲げている分、走塁への意識が薄かったという。

 転機は今春だった。プロ野球・中日で活躍した荒木雅博さんが臨時コーチとなり、リードの取り方など細かな走塁技術をチームで見直した。この日の四回の三盗も大きなリードを取るなどした結果が、先取点に結びついた。

 試合前日のミーティングで、杉浦は「歴史と伝統をつないできてくれたOBの方々への気持ちを持って試合に臨もう」と仲間たちを鼓舞した。甲子園開場100周年の節目に価値ある1勝をつかんだが、8回目の頂点を目指す戦いはまだ始まったばかりだ。【皆川真仁】

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