【英明-健大高崎】六回裏、英明の選手が足をつり、試合が中断=阪神甲子園球場で2024年8月7日、渡部直樹撮影
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 第106回全国高校野球選手権大会は、酷暑対策のために初めて導入した気温の高い昼間を避けて朝と夕方に試合をする「2部制」での日程を9日に終えた。暑さを避けるメリットが感じられた一方、終了が午後9時半を超える試合があるなど課題も残った。選手や監督たちはどう受け止めたのか――。

 第1日は午前8時半からの開会式を終えた後に午前10時から第1試合を実施し、約3時間半の中断を挟んで午後4時から2試合を行った。第2試合で好投した健大高崎(群馬)の石垣元気投手(2年)は「暑いのは苦手なので2部制で良かった。開会式後にホテルで30分くらい昼寝をしたのでリラックスできた」。

 青柳博文監督も「試合の後半は涼しかった。効果があると思うし、試合時間も決まっていて非常に調整しやすかった」と前向きな感想を語った。

 一方で、熱中症とみられる選手が相次いだ。健大高崎と対戦した英明(香川)の選手が守備についている時に足をつり、治療を受ける間は試合が中断した。第3試合でも岐阜城北の選手が足をつったという。

 第2日の8日で、午後5時1分に始まった第3試合も京都国際の選手2人が体調不良で途中交代する事態に見舞われた。

 これらを受け、大会本部は9日夜、原則実施しないことにしていた午後4時以降に始まる試合でのクーリングタイム(五回終了時に10分間休憩)を設けることを決めた。開幕から3日間で熱中症とみられる症状があった8選手のうち4選手が午後4時以降に試合があり、夕方になっても気温が下がりにくい傾向があるための対応だ。

試合前や試合中にベンチで水分補給など暑さ対策を行う選手たち=阪神甲子園球場で2024年8月9日、滝川大貴撮影
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「こんな時間まで練習したことない」

 慣れないナイターの影響からなのか、ミスが目立つ場面もあった。午後6時52分に始まった7日の智弁学園(奈良)―岐阜城北の試合は、両チーム合わせて10失策と守備が乱れた。延長十一回タイブレークに及ぶ激戦の末、智弁学園の勝利で終了したのは午後9時36分。終了時刻は大会史上2番目に遅い試合となった。

 この日、智弁学園の選手たちは午前5時ごろに起床し、開会式終了後に一度宿舎へ帰り、休息後に再び球場に戻ってくるという慌ただしい長い一日を過ごした。知花琉綺亜(るきあ)主将(3年)は「勝った喜びもあるが、やっと終わったという感じもあります。こんな時間まで練習したこともない。疲れました」と語った。帰宅が遅くなる応援団や観客を心配する声も聞かれた。

 2部制最終日の9日は、第3試合で甲子園大会初勝利を挙げた菰野(三重)の森田亮太監督が「投手にとっては投げやすい環境だったと思う。昼間の時間帯だったら、違った展開になったかもしれない」と振り返った。150球を投じて2失点完投した栄田人逢(とあ)投手(2年)も「風はあまりなかったが、昼よりは涼しくて投げやすかった。いつも通り投げることができた」と好意的に振り返った。

 今大会の2部制は第3日までの3試合日に限っており、大会は10日の第4日から1日4試合開催の通常日程に戻った。【長宗拓弥】

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