満面の笑みでゴールする車椅子ランナー=福井県小浜市で、高橋隆輔撮影

 福井県小浜市で22日行われた「第41回OBAMA若狭マラソン大会」に、車椅子ランナー9人が出走した。同県内の市民マラソンでは異例の多さで、出場者、運営側ともに「よりたくさんの車椅子ランナーが挑戦できるように」と、マラソンの「バリアフリー」の願いを共有していた。

 同大会は昨年から車椅子ランナーの出走を認め、1人が出走していた。今年は、同市在住で、医療的ケア児の自助グループで会長を務める小嶋ひとみさん(42)が知人に参加を呼びかけたことなどで、小学1年~51歳の9人が集結。小林靖幸さん(48)=同県坂井市=は「『危ない』と先入観で車椅子NGにしている大会が多い。自分が出て、そうではないことを見せたい」と参加の意図を話した。

 レースは3キロの部を、9人全員が無事完走。前回は1人で走った村上健太さん(21)の母、眞理子さん=同県敦賀市=(60)は「今年は車椅子同士で、折り返しにすれ違ったときに声を掛け合えた。仲間が増えてうれしかった。健太も昨年より表情が柔らかかった」と笑顔。市への投書などで車椅子参加を働きかけ続けた小畑正美さん(59)は「地元の大会が参加を認めないのが寂しくて訴えてきたが、これだけ参加が増えて泣きそうなほどうれしい」と感無量の様子だった。

 マラソン初挑戦だった片岡勇登さん(19)=同県鯖江市=は、小学6年時に事故で車椅子生活になる以前は、100メートル走で市1位にもなった陸上選手。「最後まで自分との戦いを続けた達成感は陸上と同じ。誘いたい友人もいるので、地元のマラソン大会でも車椅子OKになってほしい」と、願いを語った。

 大会事務局となった小浜市生涯学習スポーツ課の日比野伸彦課長は、「まだノウハウが足りず、今回もトイレをどう対応するかなどはずいぶん悩んだ。伴走者の要件に改善の要望もあったので、来年への課題にして、よりたくさんの人が参加できる大会にしていきたい」と話していた。【高橋隆輔】

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