46年前の写真や新聞を見ながら南陽工との試合を振り返る宇治山田商野球部OBの五島直樹さん=伊勢市内で2024年8月8日午後2時44分、下村恵美撮影
写真一覧

 第106回全国高校野球選手権大会(日本高野連など主催)で三重県代表の菰野が9日、山口代表の南陽工との初戦を迎える。この対戦に1978年8月9日の試合を重ねるのが宇治山田商野球部OBの五島直樹さん(64)=伊勢市二見町=だ。

 宇治山田商は46年前の第60回大会で甲子園に初出場。当時は北中勢の高校が強く「初めて(松阪の)櫛田川を越えた」と伊勢市民は歓喜に沸いたという。

 その時の初戦の相手が同じ初出場の南陽工だった。今のような情報戦がなかった時代に誰もが知る剛腕投手が南陽工にいた。その年の選抜高校野球大会で注目を集め、後にプロ野球・広島で「炎のストッパー」と呼ばれた津田恒実さんである。

46年前の南陽工戦で津田恒実さんから安打を放つ宇治山田商の五島直樹さん=五島さん提供
写真一覧

 県大会で4割近い打率を残した五島さんは1番中堅手として出場。初回の打席で見た津田さんは「直球の切れがすごかった。初めて見たフォークは真っすぐの軌道から急に消えた」と驚きを隠せなかった。

 試合は投手戦。宇治山田商は五回裏に安打と失策で2点を先制された。六回表の先頭打者、五島さんは速球を見事に左中間へ打ち返したが、結局この一打を含めた3安打で完封負けを喫した。

 菰野の初戦が南陽工に決まった時、思わず「南陽工かー」とうなったという五島さん。32歳で早世した津田さんをしのびつつ「雪辱というより、引き締まった試合を。目が離せないような展開で、記憶に残る試合をしてほしい」と両校にエールを送った。【下村恵美】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。