(8日、全国高校野球選手権大会1回戦 小松大谷8―4明豊)
小松大谷にとって3回目の甲子園で初白星を呼び込んだのは、2年生のバットだった。
七回無死一、二塁で田西称(たさいとな)が打席へ向かった。前の2打席はともに三振だったが、冷静に理由を分析しつつ、気持ちを高め直した。「緊張もあって簡単に球を見逃していた。せっかく甲子園に来たのに2三振。これで終わるのは嫌だ」
その表情を見た西野貴裕監督は、バントのサインを出さなかった。「俺が準備できているぞ、という感じでベンチから出てきた。顔を見て、打たせようと決めた」
180センチ、84キロ。3番打者の信念は「自分のスイングを貫くこと」。石川大会決勝でも本塁打を放った思い切りの良さが、この土壇場でよみがえる。カウント2―2からの5球目をフルスイング。右中間への逆転三塁打に、ベンチの仲間とガッツポーズで喜んだ。続く八回も右前適時打を放ってリードを広げた。
今春の選抜大会に出場した日本航空石川と星稜を破ってたどり着いた甲子園で歌った校歌に、「最高の気分。チームの新しい歴史を作れて良かった」。能登半島地震で被害を受けた能登の部員からチームは激励のメッセージを受けており、「みんなの元気になれたのならうれしいと思う」。
2回戦の相手は大阪桐蔭。持ち味のスイングで、「思い切って戦いたい」と意気込んだ。(上山浩也)
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