柔道男子100キロ超級準決勝、一本を奪われ悔しがる斉藤立=シャンドマルス・アリーナで2024年8月2日、平川義之撮影

 パリ・オリンピック第8日は2日、柔道男子100キロ超級があり、初出場の斉藤立(たつる)(JESグループ)は準決勝で一本負け。3位決定戦でも敗れ、メダルを逃した。

 地元の英雄、テディ・リネール(フランス)が決勝に臨むのを前に、観客が大声援を送る。高揚感に包まれる会場で、3位決定戦に敗れた斉藤立はテレビ局のインタビューに応じていた。「本当に情けない気持ちでいっぱい」。メダルを手にできなかった現実と改めて向き合った。

 同世代で勢いのある金民宗(キムミンジョン)(韓国)との準決勝も、年々実績を上げているアリシェル・ユスポフ(ウズベキスタン)との3位決定戦も。激しい攻防の中で一瞬の隙(すき)をものにされ、投げられた。

 日本男子の鈴木桂治監督は、メダルのかかる試合で斉藤が攻守を一体にする動きができなかったことを敗因に挙げた。「ディフェンスはディフェンス、攻撃は攻撃ではなく、ディフェンスとオフェンスのはざまで勝負はするもの。(攻防の)かみ合いが悪かった」

 対して、地元開催の五輪で金メダルを獲得したリネールは初戦の2回戦で延長戦の末に指導三つを引き出して、辛くも反則勝ち。先行きが不安視されたが、試合を重ねるごとに調子を上げ、準決勝は大外刈り、決勝も払い腰と、ともに勝負どころで鮮やかな一本勝ちを収めた。

 鈴木監督はリネールについてため息交じりに「毎大会(勝つための)糸口が見えそうな気がするけど、本番で結果を残す。『やっぱり勝ったか』という気持ち」と語る。その意味で「(斉藤には)スター性はまだないな」と評した。

 鈴木監督自身は、斉藤の父で五輪2連覇の仁さん(2015年に54歳で死去)の教え子だ。それでも「斉藤先生の息子」を金メダリストにするという考えは持たないようにしていたという。だからこそ、厳しい言葉で斉藤の成長を促す。

 斉藤は初の五輪を「何が違うかわからないけど、ほかの大会と違った」と語る。28年ロサンゼルス五輪で雪辱を期すための道のりは、その何かを探し求めることから始まる。【パリ岩壁峻】

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