日本高校野球連盟は2日、9回から時間を短縮させる「7回制」の導入について、議論を始めたことを明らかにした。7日に開幕する夏の甲子園大会に出場する監督や選手からは、さまざまな意見が上がった。
今春のセンバツで準優勝した報徳学園(兵庫)の大角健二監督は「(高校野球が)進化していくことは必要。いい部分も寂しい部分もあると思う」と冷静に受け止めた。試合時間の短縮は観戦する人にもメリットがあるとし、「野球が長く愛され、いろんな方に気軽に楽しんでもらうことを考えると良いことだと思う」と話した。
一方、戸惑いの声もある。歴代2位の春夏通算9回の優勝を誇り、近年の高校野球をリードしてきた大阪桐蔭の西谷浩一監督は「やっぱり野球は9回だと思っている。いろんな方でいろんな話をして、現場の声も聞いていただきたい」と慎重な議論を求めた。2021年のセンバツで準優勝の経験がある明豊(大分)の川崎絢平監督は7回制になることで回ってくる打席の数や登板機会などが減ると予想し、「ちょっと寂しい」と口にした。
選手の反応はどうか。大阪桐蔭の宮本真司郎主将(3年)は「単純に考えて攻撃が2回減ってしまう。先にどれだけ点を取れるかが大事になってくる。7回の方が投手の疲労度は軽くなると思う」と冷静に分析した。報徳学園の福留希空主将(3年)は「九回まで何が起こるか分からないと言われ続けてきた。短くなると、逆転の場面も少なくなるのかなと思う」と受け止めた。
もし7回制が導入された場合、高校野球の戦い方が変わる可能性もある。高校日本代表が初優勝した昨年のU18(18歳以下)ワールドカップでコーチを務めた智弁学園(奈良)の小坂将商監督は「強いチームが勝つとは限らない。7回は本当に早い」と振り返る。京都国際の小牧憲継監督は「投手は2イニングくらいでつなげば球威も落ちないので、いい投手をそろえているチームが有利になる。(各校の)差はますます広がってしまうのでは」と危惧した。【石川裕士、下河辺果歩】
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